「中国不動産バブル崩壊」そんな記事をよく目にする。そこにはいろいろな数字が飛び交っているが、地に着いた情報は意外に少ない。多くは海外のシンクタンクが発表した数字を引用しながらバブルについて語っている。

 本当のところはどうなのだろう。細かい数字を羅列することになって恐縮だが、実際にこの手で中国不動産の時価総額について計算してみた。

都市部の住居はほとんどがマンション

 中国の不動産を語る上で、いくつか注意したいことがある。まず、中国の都市に一戸建てはまずなく、そのほとんどがマンションであるということである。また、新築マンションを購入する際に内装は自分で行う。そのために、購入後、別途、費用が必要になる。

 また、不動産屋に表示してある面積は廊下などの共有部分やベランダを含んだものであり、実際に使用できる面積は表示面積の7~8割に留まる。

 このような知識を持った上で中国の不動産を見てみよう。新築物件を見ると標準的な広さは100平方メートル、日本より広いようだが、先ほど述べたように共有部分などを含んでいるために実際に使える面積は70~80平方メートル程度に留まり、日本のマンションにほぼ等しい。

 同じ広さのマンションでも場所によって価格が変わる。中心部の便利なところで高く、不便な郊外で安い。これは日本と同じ。社会主義を国是に掲げているものの、不動産価格は市場経済に基づいて形成されている。