去る12月12日、JBpressプレミアム会員および無料会員を対象とした、第1回の「JBpressコラムニストを囲む会」が行われた(会員制プレミアムサービスについてはこちらから)。

 今回のゲストはJBpress草創期から連載を続けていただいている、人気コラムニストの宮家邦彦さん。少人数制の特別セミナーとあって、講演から質疑応答まで非常に密度の濃い会となった。ここでは、2時間半にわたったセミナー内容の一部をご紹介する。

中国の発展は海のルートと不可分、だから海軍を増強する

JBpressで「中国株式会社の研究」を連載する宮家邦彦氏。コメンテーターとしても活躍中

 中国という国は歴史的に見て、膨張と縮小を繰り返してきました。

 かつて中国の脅威は基本的に北から来たため、万里の長城が造られた。その後、中国の脅威は変わり、8世紀後半の唐の時代は中原から中央アジアに抜ける回廊が、ウイグルとチベットによって挟撃されました。

 これは現在に通じる中国の安全保障関係地図のプロトタイプだと思います。私はいつもこの原点に戻るようにしています。

 その後、再び漢族が力を持ち始めましたが、ウイグルやタタール、チベットがあり、漢族は中央アジアには行けなかった。こういう状態が長く続き、清の時代を経て、ほぼ現在の中国が出来上がりました。

 つまり、漢族の歴史というのは、基本的に東西南北の国との力関係で出来上がっている。現在の北の脅威はロシアですが、中露関係はそこそこいい。

 チベット、ウイグル、内モンゴルは押さえた。インドとベトナムとの間には領土問題を抱えていますが、戦争をしない状態ということになると、実は陸の国境は安定しているんです。

 中国がいまなぜ海軍を増強しているのかというと、脅威が海から来るからです。そして中国が一番守りたい、最も豊かで、脆弱な部分が太平洋側にある。エネルギーも資源も海にある。モノを輸出するのも海からです。

 中国の発展と海のルートは不可分です。だからこそいま中国は陸軍を減らして海軍を増強しているのです。

13億人の民主国家の誕生は日本にとって最悪のシナリオ

 中国の将来について、7つのシナリオを考えてみました。まず3つの可能性があります。(1)民主化する、(2)独裁の強化、(3)ロシアのように民主化するが失敗する、です。

 そして、それぞれに2つの可能性を加えます。(A)統一する、(B)分裂する、です。これで3×2の6通りのシナリオとなります。7番目は全部グチャグチャになるというシナリオです。