市場調査会社の米ガートナーが6日までにまとめた世界IT市場の推計によると、今年1年間における世界全体の支出額は、前年から3.1%増え、3兆7770億ドルになる見通しだ。

伸び率予測を0.5ポイント下方修正

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IT機器の薄型化・軽量化が進む。写真はiPad mini〔AFPBB News

 昨年1年間の支出額の伸びはわずか0.4%とほぼ横ばいで推移したので、このガートナーの推計はIT業界が今年再び活気を取り戻すことを意味している。

 ただし、同社の分析を詳しく読むと安閑としていられない状況が見えてくる。というのも、これに先立つ3カ月前にガートナーが予測していた今年のIT支出額伸び率は3.6%で、同社は今回これを下方修正したからだ。

 下方修正の最大の要因は、IT支出全体の4割以上を占める最大分野「通信サービス」が1.2%増にとどまるとの予測があるからだ。ガートナーが3カ月前に公表していた通信サービスの伸び率予測は1.9%だった。

 同社によると、これには固定電話を持たず携帯電話のみを所有する世帯の増加や、中国における音声通話料金の低下、欧州における倹約志向という背景があるという。

法人向けソフト、6.8%増と高い伸び

 一方で、成長が有力視されている分野もある。「法人向けソフトウエア」だ。ガートナーによるとこの分野の今年の支出額は前年比6.8%増と、最も高い伸び率で推移する。

 それには次のような理由があるという。

 対消費者取引において、マーケティングや取引プロセスをより効率化したいと考える企業が増えており、データ解析に力を入れている。これにより顧客関係管理(CRM)ソフトへの支出額が増えるという。同様に企業間取引でもデータ解析を進めたいと考える企業が増えており、サプライチェーン管理(SCM)ソフトへの投資も進むと同社は見ている。