ドイツニュースダイジェスト 20 Dezember 2013 Nr.968

 ドイツの超富裕層ランキングに毎年名を連ねる、カール・アルブレヒトとテオ・アルブレヒト。同じ名字であることから推測できるように、彼らは兄弟である。ドイツで一番有名な兄弟と言っても過言ではないこの2人は、ドイツ人の日常生活に欠かせない、あるビジネスと深く関係している。アルブレヒト兄弟のビジネスとは。そして彼らはそのビジネスをどのように成功させていったのだろうか。(藤田さおり)

ドイツのウルトラ富裕層

 ドイツの最も裕福な100人のランキングが、マネージャー・マガツィン誌により発表された。1位は昨年に引き続きカール・アルブレヒト氏で、総資産額は178億ユーロ。2位はテオ・アルブレヒトJr.一家で同160億ユーロであった。カールと、テオ・アルブレヒトJr.の父であるテオ・アルブレヒトは兄弟で、ディスカウントスーパー・アルディ(ALDI)の創設者である。

 米国の経済誌フォーブスの世界長者番付2013年度版では、カール・アルブレヒトが18位、テオ・アルブレヒトJr. 一家は31位にランクインしている。

アルディの設立

Huestrase 89, Essenに残る第1号店。シェーネンベックの店が5年後、こちらに移動した

 アルブレヒト兄弟は、どのようにして資産を築いていったのだろうか。

 ドイツ人の98%が知っているという驚異的な認知度を誇るアルディは、今からちょうど100年前の1913年、当時パン屋の見習いであった兄弟の父が、木製カートでの配達サービスをビジネス登録したことに始まる。

 実際の店舗としては、1914年に兄弟の母がエッセン、シェーネンベック地区にオープンした食料品店が最初。

 ディスカウントという考え方は、アルディ兄弟が第2次世界大戦後に提案した。1948年には4支店がオープンし、1955年時点でノルトライン=ヴェストファーレン州に、アルブレヒトの名を冠したショップが100店舗存在していたという。

アルディの分割と世界進出

 ルール地方をほぼ制圧した1960年、兄カールはドイツ南部を担当し、弟テオは北部を担当した。アルディは現在、ドイツだけで3700の店舗を構える。

 海外への進出は、アルディ・ノルト(ALDI NORD)が、ベルギー、デンマーク、フランス、ルクセンブルク、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スペインを、アルディ・ズュート(ALDI SUD)が、オーストリア、米国、英国、アイルランド、オーストラリア、スイス、スロベニア、ハンガリーをカバーしている。現在、アルディ・ズュートは、米国の西海岸を制覇しようとしている。