米アマゾン・ドットコムは、年末商戦に向けて臨時雇用者を大幅に増やすと発表した。米国では7万人英国では1万5000人を雇い入れる。これら米国と英国の数は昨年に比べそれぞれ40%、50%多いという。いずれも同社の物流施設で商品配送業務などに携わる人員だ。

 これに先立ち、同社は米国の物流施設で新たに約5000人のフルタイム従業員を雇用すると発表していた。対象は、テネシー州やカリフォルニア州、テキサス州など10州の合計17の施設。同社は昨年1年間に米国で8カ所の物流施設を建設しており、今後さらに増やしていく予定だ。

ライバルよりも多いアマゾンの臨時雇用者数

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アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEO〔AFPBB News

 同社の物流施設は昨年末時点で世界に89カ所ある。また米国における物流施設のフルタイム従業員の数は2万人。こうして見ると、今回の臨時雇用者の数が非常に多いことが分かる。

 米ウォールストリート・ジャーナルによると、8万5000人という数は、アマゾンのライバルである米ウォルマート・ストアーズや米ターゲットの臨時雇用者数を上回っているという。

 11月の感謝祭から年末にかけてはホリデーシーズンと呼ばれ、1年で最も消費が伸びるが、アマゾンでも年間売上高の35%がこのホリデーシーズンを含む10~12月期に集中しており、毎年この時期の販売に力を入れている。

 とりわけ今年は9月にタブレット端末の最新モデル「キンドル・ファイア(Kindle Fire)HDX」を発表したばかりで、アマゾンはこの端末で年末商戦の売上高が大きく伸びると見込んでいる。

アマゾンが物流施設を重視する理由

 同社が物流施設を通じた顧客サービスを拡充するのには2つの理由があると言われている。

 1つは、米イーベイやウォルマート・ストアーズといったライバルが即日配送を試験的に始めており、アマゾン対抗の動きを見せていること。そうした中、アマゾンは物流ネットワークを増強し、配送サービスのスピードアップを図っている。