バンクーバー新報 2013年9月12日第37号

 国連の委託を受けて行われた国民の幸福度調査によると、カナダ国民は世界で6番目に幸せな国民であることがわかった。

 1位はデンマーク、以下ノルウェー、スイス、オランダ、スウェーデンと、北欧を中心としたヨーロッパ諸国が続く。150に上る国が調査対象になったが、アメリカはアラブ首長国連合、パナマ、メキシコに続き17位、西アフリカのベニンとトーゴが世界で最も幸せではない国という結果になった。日本は43位。

 この調査報告書の共同執筆者であるブリティッシュコロンビア大学の経済学名誉教授ジョン・ヘリウェル氏は、調査が行われた2005年から2010年までの間に大きな変動があったとメディアに話している。

 同名誉教授によると、地球全体で見れば幸福度は上がっているが、地域ごとに際立った差が見られるという。ラテンアメリカやカリブ海諸国では2007より7パーセントほど幸福度が上がっているのに対し、中東や北アフリカの国々では、最近の政治的混乱から12パーセント近く下がっているという。

 「アラブの春は、この地域の人々を幸せにすることはできなかったが、特に下降が目立ったのはユーロ圏債務危機の中心だったギリシャ、イタリア、スペインとポルトガルだ」とヘリウェル氏。

 幸福度ランキングは、アメリカの大手世論調査会社ギャラップが2005年より、毎年世界の150以上の国々で行っている、生活評価と呼ばれる調査の結果を基に計算された。

 調査では、個人の幸福度を10段階で評価してもらっている。2013年度版の報告書では、幸福度の平均値は5.1、カナダは7.48で、1位のデンマークは7.69、最下位のトーゴは2.94だった。

 質問項目の中で、各国の幸福度の差をつけたのは主に次の6つの項目だと報告書は指摘している

●一人当たりのGDP
●平均余命
●国家権力の不正度合い
●個人の選択の自由
●国民の寛容度
●自分が信頼を置ける人の多さ

 また報告書では、上位に入った国々は経済的にも裕福な国である場合が多いが、調査からは収入よりも個人の選択の自由や社会的保障制度のほうが、幸福度アップに貢献していると指摘している。

 ヘリウェル氏は、GNH(国民総幸福量)という概念を導入して、国民の幸福度向上に努めているブータン王国の例を引き合いにして、多くの国がその発展の目安に、こうした幸福度を取り入れるべきだと話している。

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