東京五輪と燃料電池車

この2つの成功で日本の未来は明るい

2013.09.30(月) 川嶋 諭
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7年後の2020年に東京でオリンピックが開かれることが決まったが、残念ながら時速500キロで走るリニアモーターカーの実用化はどんなに開発を急いでも間に合わないという。しかし、本格普及に間に合う次世代の乗り物がある。燃料電池車だ。

日本のトヨタとホンダが世界を引っ張る

 開発が始まったばかりの頃はドイツのダイムラー・ベンツや米国のゼネラル・モーターズ(GM)が主導権を握っていたが、今では日本のトヨタ自動車とホンダが世界最先端を突っ走っている。

 「2年後の2015年に500万円台で発売」という新聞報道もいくつかあった。トヨタはこれらの記事を公式に否定するが、開発関係者に話を聞く限り全くの誤報という印象ではなかった。

 500万円は確かに高いかもしれない。しかし、これまで1台作るのに1億円以上かかっていたことを考えると現在の輸入車なみの価格で買えるようになるのは、まさに夢の実現である。

 東京オリンピックでリニアモーターカーが間に合わないのだとしたら、あと7年の間に日本国内で燃料電池車の普及を一気に促すということを、自動車メーカーだけでなく国としても政策に掲げていいのではないか。

 何しろ燃料電池車はガソリン車やディーゼル車よりも圧倒的に環境に優しい。走行に必要なエネルギーは燃料の水素を空気中の酸素と反応させて作り出すため、いわゆる排ガスは純粋な水だけ。自動車単体からは環境に悪影響を及ぼす物質を全く出さない。

 また、乗用車が燃料タンクを満タンにして走れる走行距離はこれまでの実証実験で1000キロ近くにまで伸びている。一般のガソリン車なみかそれ以上の水準に達しつつある。

 一足先に実用化が進んだエコカー、電気自動車が1回のフル充電で走れる距離がかなり短いうえに充電に時間がかかってしまうのに比べると、燃料電池車の利点は多い。本格的な実用化が始まれば、エコカーの本命の座を奪うのは間違いない。

 一方、燃料電池車の走行性能は折り紙つき。電気自動車と同じトルクの強い電気モーターで駆動するため、その高い加速性能はガソリン車やディーゼル車でも勝つのは難しい。きびきび走る、乗って楽しい車である。

 いま最も普及が進んでいるハイブリッド車は、激しくなった燃費競争のせいか、どうしても動力性能が後回しにされていく方向にあるようだ。

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早稲田大学理工学部卒、同大学院修了。日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。1988年に「日経ビジネス」に異動後20年間在籍した。副編集長、米シリコンバレー支局長、編集部長、日経ビジネスオンライン編集長、発行人を務めた後、2008年に日本ビジネスプレス設立。

地球の明日

世界各地で、経済も環境も政治も大きく変化し始めた。私たちの地球は歴史的に大きな転換点を迎えていると言っていい。しかし、その現象を近視眼的に見ては変化の本質はとらえられない。日本を代表する有識者が、歴史的、哲学的な視点から地球上で起こっている変化の本質を考察する。

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