米アップルが初めて市場投入するアイフォーンの廉価モデル「iPhone 5c」は、実は廉価でなかったことが分かり、同社の価格戦略に対する失望感が広がっていると多くの海外メディアが報じている。

「iPhone 5c」は中国で売れるのか?

「廉価版」iPhone5C、中国市場で約7万円 高過ぎと不満

「iPhone 5S」について説明する同社のティム・クックCEO〔AFPBB News

 アイフォーンの新モデルは、現時点では日本での販売価格が不明だが、米国ではすでに発表されている。「5c」はストレージ容量が16GBのモデルで99ドル、32GBで199ドルだ。

 だが、これは携帯電話会社との2年間の契約が前提となるもので、端末本体の価格はそれぞれ549ドルと649ドルとなる。

 中国における価格も分かっており、それぞれ733ドル(4488元)と864ドル(5288元)。中国では米国よりも割高な価格設定となっている。

 アイフォーンの廉価モデルは、同社が苦戦を強いられている新興国市場での巻き返しを狙う端末と見られていた。だがこの価格では十分な競争力がなく、新モデルは中国で売れないだろうとの観測が広がっている。

 米国などでは携帯電話会社が通信サービスへの契約を条件に、購入時の負担を低く抑える補助金制度を提供している。

 しかし米ウォールストリート・ジャーナルなどによると、中国の補助金制度は購入後しばらくしてからサービス料金を割り引くという方式。これにより同国では高価格端末が売れにくいのだという。

 また同国では、フィーチャーフォン(従来型携帯電話)からアイフォーンに買い替える際の予算を490ドル(3000元)までと考える人が少なくないという。

 これらのことを考えると「5c」の733ドルという価格は、300ドル以下の製品が主流の中国市場では勝負にならないほど高額と言える。また同時に発表された上位モデル「5s」の中国での価格は864ドル(5288元)からとなっており、「5c」との差はわずか131ドルしかない。