7月中に書いた「『買春禁止法』は有効か?」の記事に、「スウェーデンは娼婦より男娼が多いと聞いたことがある」とコメントされた方がいた。
スウェーデンをはじめ、北欧には女性より男性のセックス販売者が多いというのは事実だ。近年は高校生や20代の若い人を対象にした調査でも、「性を売るのは女子より男子の方が多い」ことが証明されている。
スカンジナビア、バルト諸国に共通する傾向
筆者がこのことについてのメディア報道を初めて目にしたのは2005年だ。
当時読んだ記事を探すと、全国紙スベンスカ・ダーグブラデットに「セックスを販売するのは、少女よりも少年が多い」というタイトルでネット上にまだ残っていた*1。
この書き出しは「19歳のスウェーデン人の男子は同年代の女子よりも多くセックスを販売しているのが一般的だ。これは、スウェーデン、スカンジナビアおよびバルト諸国におけるティーンエイジャーへのアンケート調査において一貫して同様の結果を示している」となっている。
この記事で参照されている政府報告書によると、スウェーデン犯罪庁が国内の4343人の青少年を対象にした2004年のアンケート調査では、高校時代に何らかの報酬と引き換えに性行為をしたことがあると答えた男子は1.8%、女子は1.0%である。
何らかの報酬というのは、カネの他にアルコールやクスリ、プリペイドの携帯マネー、一晩の宿泊と引き換えに――など多様な形態のモノが含まれる。
ノルウェーではスウェーデンよりも男女差が大きく、2002年に14~17歳の1万1000人を対象に実施された調査では、女子の0.6%、男子は3倍以上の2.1%が、何らかのモノかカネと引き換えに性的サービスを行ったことがあると回答した*2。
「セックスを販売する男子は女子よりも多い」という傾向は現在も続いている。昨年11月にスウェーデン国家青年委員会が発行したリポートによると、16~25歳の2254人を対象にアンケート調査を実施した結果、報酬とセックスを交換したことがある16~25歳の男子の割合は2.1%で、同じ年齢層の女子0.8%の2倍以上に上った*3。
*1=http://www.svd.se/nyheter/inrikes/fler-pojkar-an-flickor-saljer-sex_435659.svd
*2=http://www.government.se/content/1/c6/02/63/85/1bf37a62.pdf
*3=http://www2.ungdomsstyrelsen.se/butiksadmin/showDoc/ff8080813af3c858013af3d1e78e0005/wwwUtsatt.pdf