ヨーテボリ・アベニン通りを行進するパレード (Foto: Regnbågsredaktionen)

 今年もLGBT、すなわちレズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーなど性的マイノリティの権利拡充を訴え、また多様な文化と性的指向を謳歌するパレード祭の季節がやって来た。

 この「プライド・フェスティバル」は世界各国で開催されており、北欧でも、アイスランドやグリーンランドも含めた全国家で行われている。

 スウェーデンでは、5月にヨーテボリでスタートして全国各地でフェスが行われ、8月にストックホルムで閉会した。規模は年毎に拡大しており、最終日のパレードには推定6万人が参加、ルート沿いに約50万人もの観客が並んだ。今年は例年以上に音楽の生演奏があったようだ。サンババンドは例年多いが、トラックの上でロックを演奏する生バンドも一般的な光景となった。

 その音楽に合わせて、男性と女性、そして自らの性別を規定したくない何万という人々が、虹色の旗を掲げ、プラカードを持ち、あるいはハダカの体にメッセージを書いて、都市の路上を占拠して叫び、跳ね、キスをし、踊りまくった。

スウェーデンの祭典には政治家や軍幹部、検察、司祭も参加

 例年政治家の参加も多い。欧州連合(EU)担当相のビルギッタ・オールソン氏は大臣となる何年も前からプライド・ウィーク活動に参加してきたが、今年は統合相のエリック・ウレンハーグ氏と一緒にパレードに登場した。ポニーテールでお馴染みのアンダース・ボルグ財務相も参加した。彼もパレードのベテランだ。

 左翼党指導部のジョナス・シェーステット氏の顔も見えた。フェミニスト・イニシアティブ(フェミニズム政党)と海賊党も、ともに行進した。

 政権を担う穏健党青年部のシュテフィ・オーマン氏は、「我々は、すべての愛は同じ価値があるという輝かしいメッセージを広めるためにここにいる。それを実現するためには、誰もが社会の中で平等な権利を持っている必要があることは言うまでもない。ここにいる多くの人は異性愛者であるが、そうではない人を支持していることを示したいと思っている」と話している。

 極右スウェーデン民主党を除き、こうして主要政党がほぼすべて顔を見せた。

 スウェーデン国防軍最高司令官のスヴェルケル・ヨーランソン氏以下、国防軍員も50人ほどが隊列に参加した。検察もパレードに続いている。スウェーデン教会も、司祭シャツを着、「すべてにおいて偉大なものは愛である」というバナーを持って、司祭や牧師がパレードに加わった。

 国内最大のスポーツクラブの1つであるAIKも、理事会や部会、選手やサポーターがプライド・パレードに参加して5年目だ。労働組合も常連だ。消防庁からは消防車が参加し、サイレンを鳴らしながら汗だくの観客らに時々水を散布し、そのたびに大きな歓声が上がった。