7月25日に放送されたNHK「クローズアップ現代」のテーマは「人を動かす“共感力”」。ビジネスや地域社会の現場で、消費者や住民に対して共感をつくり出し、人を動かすアプローチが広がり始めていることに着目、その舞台裏に迫っている。
なぜ、いまさら「共感」なのか
この番組づくりに当たって、「共感」に関するインタビューを受け、僕の会社で手掛けている大手化粧品メーカーの事例の一部も紹介された。このメーカーとの取り組みでは、広告宣伝色を抑え、消費者の共感を得ながらブランドを育てていこうという戦略を実行している。
最近では、6月のワールドカップ出場で沸く群衆を巧みな話術で誘導し、混乱を防いだことでDJポリスが大きな話題となった。注意だけでは警備目的は思うように達成できないことを省みて、共感されるような広報を行ったことが功を奏した。これも“共感力”のなせる技ということだ。
しかし思うに、「共感」というものは人間に本能的に備わっているものである。
いまに限らず、人間社会においては、他者との感情の共有(すなわち共感)は当たり前のように重要だったのではないのか。それなのになぜ、この「共感」にあらためてスポットが当てられるのだろうか。僕にとっては、むしろそちらの方が関心事項だ。
LINEのコミュニケーションはストレスとパワハラの温床?
「女子大生が考える『LINE友人論』」という記事(日経ビジネスオンライン)内で、75%の人がLINEの既読機能を避けているという大学生を対象としたアンケート結果が公開されていた。
既読をつけるとすぐに返信しなくてはならないというある種の強迫観念が存在し、わざと既読をつけないことがある人が多いらしい。
“中には、「メッセージをいつ見たか調整可能になる」「既読で無視=お前とは連絡したくない、と遠回しに使える」というように、既読機能を逆手に取った使い方をしている人もいる”という。