「フリップボード(Flipboard)」をご存じだろうか。これはインターネット上の様々な媒体からニュースを集めてきて、雑誌風のレイアウトで表示するモバイルアプリ。利用者は画面上をスワイプして、紙の雑誌をめくるように記事を読み進められる。

 このフリップボードに似たサービスを米フェイスブックが現在開発中と、複数の海外メディアが報じて話題になっている。最初に伝えた米ウォールストリート・ジャーナルによると、フェイスブックは現在、米アップルの「アイフォーン(iPhone)」や「アイパッド(iPad)」向けニュースアプリを開発しているという。

狙いはモバイル広告の収益向上

フェイスブック、ツイッター式「ハッシュタグ」機能を導入

モバイル展開を急ぐフェイスブック〔AFPBB News

 サービスの開始時期は今のところ分からない。だが、利用者の多くがモバイル端末経由でフェイスブックのサービスにアクセスしている今、同社はこの計画で、モバイル広告収入を拡大できる可能性があるという。

 そもそもフェイスブックは大学生の交流の場としてスタートした。

 だが利用者が11億人に増え、世界中で利用されるようになった今でも主な使われ方は友人や知人の近況確認。そこで同社はサービスをさらに発展させ、人々の関心事の中心的な存在になりたいと考えているという。

 また多くのモバイル利用者は、フェイスブックへのアクセス後、写真を投稿、閲覧し、すぐにフェイスブックを離れてしまう。今後それぞれの利用者が興味を持つニュースを提供できれば、滞在時間も増え、広告展開で大きな効果が見込めるとフェイスブックは考えている。

 報道によると、この計画の名称は「リーダー(Reader)」。過去1年以上にわたり開発が進められており、「スピードと大胆さ」をモットーにする同社としては異例の“遅さ”。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)も意見を出したり、試作版を評価したりするなど、開発は慎重に進められているという。

アップル出身のマタス氏がプロジェクトの筆頭デザイナー

 ここで興味深いのが、このプロジェクトのデザイン担当責任者にマイク・マタス氏という人物が就いていること。

 同氏はアップル出身で、アイフォーンやアイパッド、マックOS Xのユーザーインターフェース(UI)などを手がけた人物。2011年に米ネストラボという新興企業が学習型のサーモスタットを発表して話題になったが、同氏はこの機器のデザインにも携わっている。