橋下徹大阪市長・日本維新の会共同代表は、5月13日に行った、「従軍慰安婦制度は必要だった」とする発言と、「在日米軍に(沖縄にある)風俗業の活用を促す」発言によって、かつてない窮地に追い込まれている。7月に行われる参議院選挙や東京都議選で日本維新の会が苦戦を強いられるのは必至であり、身内からも懸念の声が上がっている。

 27日には、有楽町の日本外国特派員協会で記者会見をし、沖縄県の在日米軍司令官に風俗業活用を求めた発言は「不適切な表現だった」として撤回し、米軍と米国民に謝罪した。しかし、旧日本軍による従軍慰安婦をめぐる発言については「私が容認していると誤報された」と主張し、撤回しなかった。

 橋下氏の発言が突発的かつ不用意な「放言」であったことは、その後の対応からも明らかだと、櫻井よしこ氏は「週刊新潮」(5月30日号)の「日本のルネッサンス拡大版」で指摘している。

 〈本来なら恥ずかしくて公表出来ないような申し入れだが、それをしたと、橋下氏が自ら公表したのは、政治という最も公の場で売買春を活用せよと言うことが、どれほど非常識でルール違反であるか、わかっていなかったかということだ。

 橋下氏周辺はいま、氏の主張をまず日本語で整理し、それを正確かつ、欧米の人々の機微に触れる洗練された英語に訳すべく作業を急いでいるという。本誌が出る頃には、英訳が完了する予定だというが、泥縄の感は否めない。

 政治家としての発言のタイミングのはかり方、どの対象に向かってどのような状況で、どのような言葉で表現し、問題提起するのがよいのか、発言が大きな反響を呼ぶとして、それにどう対応するかなど全く考えていなかったことは明らかだ。〉

 かくして橋下徹氏は、自身がいかに政治家に相応しくない人物であるのかを全世界に知らしめたわけである。

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 「自爆」とも言うべき今回の発言だが、「米軍普天間飛行場で司令官に(沖縄にある)風俗業を活用してほしいと言った」件については特に風当たりが強い。

 橋下氏は自身のツイッターで、「男に性的な欲求を解消する策が必要なことは厳然たる事実」とも主張しており、「戦場」や「軍隊」だけでなく、ごく普通の市民生活を送っている男性にも風俗業は必要なのだと言いたげである。