米アマゾン・ドットコムが、特殊ディスプレイ技術を手がける韓国サムスン電子の子会社、リクアビスタ(Liquavista)を買収したと複数の海外メディアが報じた。
アマゾンの広報担当者も買収の事実を認めており、「将来の可能性に期待している」と述べている。
リクアビスタの技術を使えばカラー画面ながらバッテリーの持ち時間が長く、屋外などの明るい場所でも見やすい電子書籍端末などが開発できると言われている。
フィリップスの研究部門から独立した企業
リクアビスタはオランダ・フィリップスの研究部門「フィリップス・リサーチ・ラボ」から分離独立し、2006年に設立した企業。2011年にサムスンが買収したが、英ロイター通信によると、サムスンは1億ドル未満という金額で同社の売却先を探していた。
リクアビスタは「エレクトロ・ウェッティング(electrowetting)」と呼ぶ技術を開発している。同社によると、この技術を使った反射型ディスプレイは、太陽光の下などの明るい場所から薄暗い室内まで、周囲の明るさにかかわらず常に鮮明な画像を表示する。
またスマートフォンなどで主流の液晶ディスプレイと異なり、少ない電力消費でテレビと同等品質の画像を表示できるという。既存の製造工程と互換性があるため現在の液晶ディスプレイメーカーが容易に生産を始められるのも特徴だと同社は説明している。
その応用範囲は、電子書籍端末や携帯電話、ナビゲーション機器、ポータブルメディアプレーヤー、カメラなど多岐にわたるとのことだ。
米シーネットによると同社は一昨年に米ラスベガスで開催された国際家電見本市でこの技術を使ったカラー電子書籍端末を披露して注目を集め、その直後にサムスンに買収された。