米マイクロソフト(MS)は8日、事業部門の財務責任者を務めていたエイミー・フッド氏(41)を同社の最高財務責任者(CFO)に任命したと発表した。同氏は即日就任し、同社初の女性CFOになった。

 マイクロソフトでは1~3月期の決算発表時にピーター・クライン氏が退任すると発表しており、フッド氏はその後任。クライン氏は今会計年度が終わる6月末まで同社にとどまり、それまでの間、役職の移行を円滑に進めるという。

同社最大事業の財務責任者

 フッド氏は米ゴールドマン・サックス出身。2002年にマイクロソフトに入社し、サーバー向けソフトウエア部門で複数の役職に就いた後、業務用ソフト「オフィス」などを手がけるビジネス部門に異動した。

 このビジネス部門で戦略・事業開発チームを統率した後、2010年に同部門のCFOに就任。スティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)とともに、インターネット電話「スカイプ」や、ビジネス向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「ヤマー(Yammer)」の買収で中心的な役割を担った。また、業務用ソフトのサブスクリプションサービス「オフィス365」の開発にも尽力した。

米マイクロソフト、「オフィス365」で企業向けクラウド本格始動

「オフィス」などを手がけるビジネス部門は、マイクロソフトの最大事業(写真はスティーブ・バルマーCEO)〔AFPBB News

 このオフィスを手がけるビジネス部門はマイクロソフトで最も事業規模が大きい。例えば今年1~3月期の業績を見ると、ビジネス部門の実質売上高は61億2600万ドル。これに対しウィンドウズ部門は46億1800万ドル、サーバー部門は50億3900万ドルとなっている。

 米ブルームバーグによると、パソコン販売が低迷しウィンドウズ部門の業績が振るわない中、ビジネス部門は着実に成長しており市場関係者から高評価を得ているという。

 オフィスにはスカイプやヤマーといった買収したサービスを統合しており、新分野の開拓が成長につながっている。今回のフッド氏の起用はそうした実績の結果だと見られている。

 フッド氏は今後、マイクロソフトの全社的な財務責任者として、経営戦略や企業買収、税務計画、会計報告、内部監査、IR(投資家向け広報)などの業務を統括していく。