米IDCが10日に公表した世界パソコン市場の調査リポートによると、今年1~3月期の出荷台数は7629万台となり、1年前の同じ期間から13.9%減少した。この減少率は同社が統計を取り始めた1994年以降最大。出荷台数は4四半期連続で減少した。
同じ日に別の調査会社である米ガートナーが公表したリポートでは、同11.2%減の7920万台。両社の統計はワークステーション(業務用高性能パソコン)を含めるか否かなどで違いがある。
だがパソコン市場がいまだ回復を見せていないことに変わりはないようだ。ガートナーによると3カ月間の出荷台数が8000万台を下回るのは2009年の4~6月期以来のことという。
不振の原因、「馴染みのない使い勝手」と「価格上昇」
スマートフォンやタブレット端末の普及の影響でパソコン市場は低迷が続いている。そうした中、最大のシェアを持つ米マイクロソフトの基本ソフト(OS)の新版「ウィンドウズ8」に期待が集まったが、同OSは市場回復の起爆剤にならなかった。
IDCのボブ・オドネル氏は「ウィンドウズ8はパソコンの需要拡大につながらなかっただけでなく、むしろ市場を減速させてしまった」と述べている。
ウィンドウズ8はタッチパネルに対応し、パソコンのデザインにも変化をもたらした。しかしこれらは一部の利用者に喜ばれたものの、多くの人にとっては馴染みのない使い勝手を意味するという。
これに加え、タッチパネルを搭載したことで製品の販売価格が上昇した。この2つが重なって、ウィンドウズ8パソコンはタブレット端末などのほかの競合製品に比べて魅力がなくなったとオドネル氏は指摘している。