東北電力の東通原発(青森県)の敷地内を縦断する断層群について、原子力規制委員会は2月18日、「活断層である可能性が高い」と認定した。規制委は先に日本原電の敦賀原発(福井県)についても同様の判断をしており、田中俊一委員長は「活断層の上にある原発の安全審査はできない」と示唆しているので、この2つの原発は廃炉になる公算が強まった。

 活断層は全国に2000以上あり、今回と同じく「12万~13万年以内に動いた断層」という基準を適用すると、九州電力の玄海原発(福岡県)以外のすべての原発が廃炉になるとも言われる。

重要施設を活断層の上に建設することは禁止されていない

 マスコミでは「活断層の上に重要施設を設置することは禁止」なので廃炉にするのが当然と報じられているが、これは誤りである。規制委は活断層の上に原発の重要施設の設置を禁止する新安全基準の骨子素案を発表した。

 つまり現在の安全基準では禁止されていないので、彼らも認めるように活断層の上の原発を廃炉にするのは法的根拠のない行政指導なのだ。

 彼らの示す唯一の根拠は安全審査の手引きだが、そこにはこう書かれている。

 建物・構築物の地盤の支持性能の評価においては、次に示す各事項の内容を満足していなければならない。ただし、耐震設計上考慮する活断層の露頭が確認された場合、その直上に耐震設計上の重要度分類Sクラスの建物・構築物を設置することは想定していないことから、本章に規定する事項については適用しない。

 

 「重要度分類Sクラス」とは原子炉などの重要施設のことなので、「設置することは想定していない」のだから、当然どこかで「Sクラスの建物・構築物を設置することを禁止する」という規定があるものと思って探してみると、どこにもない。少なくともこの「手引き」には、活断層に関する禁止規定はないのだ。

 では他の文書で禁じているのだろうか。この手引きのもとになる耐震設計審査指針にも、そういう規定はない。そもそもこの手引きは電力会社が発電所を建てるときのガイドラインであり、法的拘束力はないのだ。