「微笑みの国タイ」と言うキャッチフレーズでホスピタリティーの高さが喧伝されてきたタイ。すでに数多くの5つ星ホテルが立ち並んでいるが、首都バンコクでは至る所で高級ホテルやサービスアパートメントの建設工事が進んでいる。
2012年には日本のホテルオークラがバンコクに高級ホテルをオープンさせた。価格競争が激しくなっているなかで、さらなるホスピタリティーの高さを追求して差別化を図ろうという戦略だそうだ。
世界10位の自動車生産国に躍進したタイ
東南アジア諸国内ではシンガポールやマレーシアに続き中進国へと成長し、日本企業の進出ラッシュが続いていることも同社の背中を押した背景にあることは間違いない。バンコク商工会議所には1367社の登録があり、世界の日本商工会議所の中でダントツの地位にある。
製造業を中心に7000社以上の日系企業が活躍しており、製造業の進出が止まる気配は全くない。2011年の大洪水ではアユタヤを中心に数多くの日本企業、製造業の工場が水没の被害を受け操業停止に追い込まれたものの、2012年度は生産規模も急回復している。
2012年度はインラック政権による自動車初回購入減税政策が寄与し、年間販売台数は、前年同期比80.9%増で143万6335台となった。
またタイ工業連盟(FTI)自動車部会によると、タイ国内の全自動車メーカーの2012年の生産台数は、前年比68.3%増、過去最高の245万3717台で、世界10位という快挙を成し遂げた。
さらに最近は、消費側の有望マーケットとして狙いを定めた飲食業など日本のサービス業も数多く進出し始めている。とりわけ日本の外食産業の進出スピードは凄まじく、バンコクでビジネスをしていて日本食レストランを探すのには全く困らなくなってしまった。
このように製造業だけでなくサービス産業も加わった日本企業の進出ラッシュに沸いているタイではあるが、一方で人材供給の面では厳しい状況が続いている。
失業率は1%を切った状態が続いていて、優秀な人材(ワーカースタッフマネジャー)の採用が非常に難しくなっている(タイ統計局=National Statistical Office of Thailand がまとめた2012年12月の失業率は0.5%)。
比較的給料の高い大手製造業は優秀な人材を雇用できても、中小企業やサービス産業では慢性的な人材不足状態が続いている。それが一番目につきやすい形で表れるのがレストランなどのサービスの質だろう。