米IDCが先週公表した最新の調査結果によると、世界のスマートフォン市場はかつてない寡占状態となっており、その度合いは今後さらに高まりそうだ。

 基本ソフト(OS)に注目して昨年の10~12月期の出荷台数を見ると、米グーグルの「アンドロイド(Android)」と、米アップルのアイフォーンのOS「iOS」を合わせた市場シェアは91.1%に達し、1年前の75.9%から拡大した。前四半期の7~9月期は89.9%だったので、寡占化はさらに進行したことになる。

ドコモ、2013年春モデル12機種を発表

NTTドコモが発表したダブルディスプレイのスマートフォン「Medias W N-05E」(2013年1月22日)〔AFPBB News

 プラットフォームであるOSを押さえることは、アプリやサービス、デジタルコンテンツ、広告など、その上で提供されるあらゆるものを制することだ言われるが、急成長するこの市場でグーグルとアップルの力がさらに強固になり、他社の追随を許さない状態が続いている。

 両OSの内訳を見ると、アンドロイド端末の10~12月期の出荷台数は1億5980万台でシェアは70.1%。iOSは4780万台でシェアは21.0%。いずれの出荷台数も四半期ベースで過去最高となった。

 iOSはアンドロイドに大差をつけられているが、3位のブラックベリーと4位のウィンドウズフォンの出荷台数はそれをはるかに下回っている。ともに数パーセントのシェアという状況で、世界のスマートフォン市場はグーグルとアップルのOSの2強体制となっている。

多様化が進んだAndroid端末、iOSも多様化が必要に

 アンドロイド端末を最も多く出荷したのは韓国サムスン電子だが、同OSを採用するメーカーには1桁台のシェアを持つ企業が数多くあり、さらにシェアが1%未満のメーカーはそれよりも多い。

 こうした採用メーカーの多さを背景にアンドロイド端末は、価格、サイズ、デザインが異なる様々な端末がそろい、消費者の選択肢が広がっている。

 一方のiOSも同様にして需要が拡大している。昨年9月に発売した「アイフォーン 5」や、通信サービス契約を条件に割引販売や無償提供が行われている「アイフォーン4S」「同4」が幅広い消費者に浸透した。

 ただし、iOS端末、つまりアイフォーンの出荷台数は昨年4~6月期に前期比で大きく落ち込み、次の7~9月期にも大きな伸びが見られなかった。アイフォーンはこうして1年の半ばに台数を減らす傾向がある。