米ヤフーがモバイルアプリの新興企業を買収したと伝えられた。米ワシントン州のアライク(Alike)という会社で、12日にアライクは自社のウェブサイトのトップページでヤフーによる買収について報告した。ヤフーからの公式発表はなかったが、海外メディアによると同社の広報担当者が電子メールの取材に応じ、買収の事実を認めた。

 ヤフーは昨年10月にもスタンプド(Stamped)というモバイルアプリの新興企業を買収しており、この分野の事業強化に力を入れている。スマートフォンやタブレット端末の普及が進む中、モバイル端末の特性を生かしたサービスを提供し収益化を図りたい考えだ。

マイクロソフトやグーグルの出身者を起用

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米ヤフーのメリッサ・メイヤーCEO〔AFPBB News

 今回買収したアライクは「ニアバイ(Nearby)」と呼ぶアイフォーン(iPhone)向けアプリを開発していた。

 利用者が自分の好みの飲食店や小売店の情報を登録しておくと、その傾向を判断し、まだ行ったことがない同様の嗜好(しこう)の店を紹介するというサービスだ。

 ただ、今回の買収に伴って同社はすでにサービスを終了している。従業員は今後ヤフーのモバイル部門に移籍し、新たなサービスを開発するもようだ。

 IT系ニュースブログのテッククランチなどの情報によれば、アライクの創業者で最高経営責任者(CEO)のマリア・チャン氏は米マイクロソフト出身で、大量データの解析技術や機械学習に詳しい人物。

 同社では約2000万件に及ぶ店舗、場所の情報をデータベース化しており、利用者の好みや現在地などに合わせて最適な情報を抽出する技術を開発していた。

 一方ヤフーが昨年10月に買収したスタンプドという会社は、気に入った飲食店や音楽、書籍、映画などに印を付け、それらを知人と共有できるアプリを開発していた。こちらの共同創業者の1人は米グーグルの出身で、ヤフーのマリッサ・メイヤーCEOと共に働いた経歴を持っている。

 こうして見ると、この2つの企業に共通しているのはモバイルだが、それ以外にも2つある。利用者に合わせてコンテンツが変化する「パーソナライゼーション(個人化)」と「レコメンデーション(推奨)」だ。