昨年12月以来、本コラムでは第18期中央委員205人の経歴を何回かに分けて分析してきた。党高級幹部の人生は一見様々なようで、実は一定のパターンがある。
締めくくりの今回は、平の「中央委員」と「政治局委員」「政治局常務委員」の違いにつき考えてみたい。
出世の5パターン
これまで筆者は中央委員205名の一人ひとりにつき、その前世、現世、来世(過去の経歴、現職、次期ポストの可能性)を詳細に調べてきた。
その結果、7人しかいない「政治局常務委員」や25名の「政治局委員」に上り詰める人々と、そうでない「平」の中央委員では、出世のパターンが異なるらしいことが分かってきた。
こうしたデータ分析を踏まえ、筆者の考えた政治局委員の出世パターンが以下の5種類だ。基本的な分析手法は、(1)出身が中央か地方か、(2)政治抜擢があるか否か、(3)抜擢後に地方政府を転々とするか、中央と地方を往復するか、などを基準とする分類である。
より具体的には、(1)中央の党組織・官庁(職能)出身か、地方の党組織・政府出身か、(2)1つの組織・地方「一筋」の叩き上げ型か、それともキャリアの途中で政治的な「抜擢」を受けるか、などについて細かく観察した。
更に各幹部が、(3)抜擢後、新職場で地道に働き、地方・中央の党・行政組織ナンバー2レベルにまで出世する「党官僚」にとどまるか、更に出世して、数年毎に地方のトップポストを転々とする「渡り鳥」となるか、または、数年毎に中央と地方の主要トップポストを往復する「カメレオン」となるか、などにも大いに注目した。
以上のような独断と偏見により、筆者が205名の中央委員を出世パターン毎に勝手に分類した結果は以下の通りだ。
● 軍人(41名)
軍人は、前回ご説明した通り、解放軍内の独自の昇進制度に基づき出世しているので、ここではより細かい分類を省略する。この41人のうち政治局委員となったのは2人だけで、いずれも中央軍事委員会の副主席。軍人にはこの出世パターンしかないようだ。
また、軍人の中央委員41人のうち、少なくとも5人は元解放軍有力者の子弟だが、彼らはいずれも政治局委員になっていない。公開された略歴を見る限り、いわゆる「太子党」メンバーであっても、その出自が出世の絶対条件というわけでは必ずしもなさそうだ。