米フェイスブックが1月30日に発表した昨年10~12月期の決算は、売上高が15億8500万ドルで1年前に比べ40%増加した。一方純利益は同79%減の6400万ドルと大幅減益だった。

 昨年5月に上場して以来同社が決算を発表するのはこれで3回目。過去2回はいずれも赤字で、今回上場企業として初めて黒字を報告したが、それでも減益が嫌気されたようで、同社の株価は時間外取引で一時約10%値下がりした。

2四半期前まで収入“ゼロ”だったモバイル広告

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上場後、3度目の決算を発表したフェイスブック〔AFPBB News

 ただ、それもつかの間。株価はその後持ち直して通常取引の水準にまで回復した。

 かねて懸念されていたモバイル広告事業が予想以上に成長していることが分かり、まもなくしてそれを好感した買いが優勢になった、というのが専門家の見方だ。

 フェイスブックがこの日明らかにした10~12月期の広告売上高は1年前から41%増の13億3000万ドル。このうちスマートフォンやタブレット端末などモバイル経由の広告は23%を占め、7~9月期の14%からほぼ2倍になった。

 同社のデービッド・エバースマン最高財務責任者(CFO)はロイター通信とのインタビューで、「2四半期前までは我々のモバイル広告収入は実質ゼロだった。我々は実に短い期間でモバイルを収益化することができた」と述べており、同社は相当の急ピッチで施策を講じたもようだ。

 マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)も声明で、「フェイスブックは文句なしにモバイル企業になった」と述べ、モバイル広告事業の好調ぶりをアピールした。

 ただ、その分費用もかさんでいる。10~12月期の研究開発費は2億9700万ドルと1年前から2.4倍になり、これら経費の増大が大幅減益につながった。

上場以来の懸念を払拭か?

 スマートフォンやタブレットの普及で、利用者の大半はモバイル端末経由でフェイスブックを利用するようになったが、同社はそうした利用者層に向けた広告展開が遅れていると指摘されていた。

 表示面積の小さな端末に広告を大きく表示したり、頻繁に出したりすると使い勝手が悪くなることから、広告の数は制限され、パソコン向けサービスのような規模で収益を拡大できないというのが、上場以来の同社の懸念事項だった。