韓国野球委員会(KBO)は2013年1月17日、通信最大手のKTのプロ野球球団新設を認めた。2014年にまず2軍リーグに参入し、翌2015年からは1軍リーグに合流する。観客急増で2013年シーズンからゲーム大手のNCソフトの新球団が参入する予定で、韓国のプロ野球リーグは10球団体制になる。
KTはソウル近郊の京畿道水原を拠点としてプロ野球球団新設に名乗りを上げ、全羅北道を拠点に参入を目指していた中堅建設会社の富栄(プヨン)を振り切った。
圧倒的な資金力にものを言わせたKT
KTが参入できたのは、その圧倒的な資金力のためだ。プロ野球球団を新設するにはリーグ加盟費と保証金を合わせて130億ウォン(1円=12ウォン)がかかる。KTはこれに加えて「野球発展基金」として200億ウォンをKBOに支払うことを表明した。
これ以外に2015年に1軍リーグに加入するまでの間に、球場の整備や選手の補強のために650億ウォンを投じる計画だ。
さらに加入を決定づけたのが地元である水原市の全面的なバックアップだ。球団新設に合わせて既存の球場に290億ウォンを投じて、観客席数を1万4000から2万5000に拡充する。
これはほんの第一歩で、「超目玉」として総額5000億ウォンを投じて観客席数4万の韓国初のドーム球場を建設すると約束したのだ。
KTは資産規模が32兆ウォンで、韓国の「大企業集団資産規模ランキング」で15位に入る。もともと韓国通信という公企業で、経営の安定性は図抜けている。水原市はサムスン電子を抱える巨大自治体だ。KTと水原市という組み合わせだからこそ可能な巨額投資計画で10球団目の新設を獲得したことになる。
KBOはわずか2年前の2011年初めに9番目の球団としてNCソフトの加入を認めたばかりだ。相次ぐ球団新設は、韓国のプロ野球はいま、それほど企業の注目を集めていることの表れだ。
もう「プロ野球ファン=中年層」ではない!
つい数年前まで、韓国のプロ野球は「中年層以上の男性ファン」にファンが偏っていた。どの球場に行っても当日券を購入するのは簡単で、筆者も当日午後になって知人と誘い合わせて時々球場に足を運んでいた。
日本と違って観客席は空いていて、天気が良い日にいくつかの観客席を独占してゆったりと座ってビールを飲んで野球を観戦するのが最大の楽しみだった。