12月16日、第46回衆議院議員総選挙で自民党は294議席を獲得し、自公連立では325議席と、定数の3分の2を超える「圧倒的多数」を確保する結果となった。2013年夏の参院選の結果や連立の枠組み次第で、いよいよ憲法改正発議も現実味を帯びてくるだろう。

 翌日の12月17日、上海の日刊紙「東方早報」は「自民党帰来、安倍帰来」と、自民党の政権奪回と安倍政権再来の見出しを掲げ、今後の日中関係の見通しについて取り上げた。

 興味深いのは、「日本の右傾化」「軍国主義」「開戦」などのキーワードを使った従来の挑発的なコメントに代わって、今の日中関係を冷静に捉えようとする専門家たちの意見が紙面に現れていたことだ。憲法改正を唱え、自衛隊を「国防軍」に改称しようとする安倍新政権に警戒感を抱きつつも、その論調にはある種の期待感が感じ取れた。

 例えば、同紙は上海国際問題研究学院副主任・呉寄南氏の次のようなコメントを紹介している。

 「安倍氏は魚釣島に公務員を駐在させ、憲法改正を唱え、また自衛隊を国防軍に昇格させ、さらには愛国教育に力を入れようと主張している。だがその一方で、別の可能性も持っている。それは日本と中国の悪化局面を打破するということだ」

 「安倍氏は中国に対して激しいことを言いつつ、高村正彦(元外相・元防衛相)を自民党副総裁に任命した。彼の中国人脈を利用し、また今後、中国での交渉を進めるルートとして、谷内正太郎(元外務事務次官)、宮本雄二(前在中国特命全権大使)らに中国とうまく付き合わせるつもりだ」

 最近、日本で安倍晋三氏の腹心と接触を持ったという呉氏は、「安倍氏の選挙演説と実際の政策には異なるものがある」と見ているのだ。

 同学院のアジア太平洋研究センター研究員の蔡亮氏は、安倍氏が「文藝春秋」(2013年1月号)で発表した政権構想の中の「(2006年10月)私の総理としての最初の訪問先が中国だったことをお忘れなのかもしれない。私は当時の胡錦濤国家主席や温家宝総理と、新たな日中関係として『戦略的互恵関係』を築くという合意に達しました」という言葉を引用し、次のように結んだ。「保守的色彩を強めるものの、安倍氏は周辺国家との関係を重視しており、政党の綱領と実際の政策はイコールで結ぶことができない」。蔡氏は、安倍内閣が与える印象は不安と憂慮だとしつつも、「幾分の期待」をにじませる。

安倍夫人は中国で人気?

 安倍氏が、靖国参拝も辞さない“タカ派”の政治家であることは間違いない。にもかかわらず、中国の安倍氏への期待はどこから来るのだろうか。