米アップルが大型テレビの市場に参入する可能性が出てきたようだ。12日付の米ウォールストリート・ジャーナルの記事によると、アップルは現在、高精細・大画面テレビの設計について、アジアの部品供給業者と共同で試験を行っている段階だという。
社内開発を終えて第2段階に?
同紙は事情に詳しい関係者の話として、アイフォーン(iPhone)やアイパッド(iPad)などを受託製造している中国・富士康(フォックスコン)の親会社、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業がアップルに協力していると伝えている。
興味深いのは鴻海が日本のシャープと共同でここ数カ月、アップルの新たなテレビの設計で協力し合っていると報じている点。
アップルは通常自社内で製品の開発、試験を行い、その後製造委託企業に協力を依頼する。このことから同社のテレビプロジェクトは既に社内開発の段階を過ぎ、第2段階に入ったのではないかとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
信憑性を裏づけるジョブズ氏とクック氏の発言
ウォールストリート・ジャーナルはテクノロジー企業の関係者への取材に基づいた予測記事がしばしば当たることで知られる新聞。
米フォーブスは今回の記事について、「アップルがアイパッド・ミニの試作機をテストしているといち早く報じ、その1年以内にアイパッド・ミニが発売されたことを考えると、信憑性が増してくる」と伝えている。
アップルのテレビ開発計画を巡っては、もう2つほど根拠となるものがある。1つは先頃米NBCテレビのインタビュー番組に出演したティム・クック最高経営責任者(CEO)が、「アップルの次の展開は?」と聞かれ、「自宅でテレビをつけると20~30年前に戻ってしまったような気がする」と答えたこと。
この時、同氏が「(テレビは)強い関心がある分野。だがこれ以上は話せない」と含みを持たせたことから、同社ではテレビプロジェクトが着々と進んでいると言われるようになった。
もう1つは故スティーブ・ジョブズ前CEOが同氏の伝記本を執筆したウォルター・アイザックソン氏に語った内容だ。ジョブズ氏は次のように話している。