米IT大手ヒューレット・パッカード(HP)が20日に発表した8~10月の決算は、多くの投資家にとって衝撃的だったようだ。同社は昨年買収した英オートノミー(Autonomy)の減損費用として88億ドルを計上したと発表した。
このうち50億ドル以上が不正会計処理に関するものといい、HPは「買収前の経営者による、不適切な会計処理、不実表示、情報開示の不履行があった」と説明した。
前CEO、オートノミーを高値で買収
HPでは今年5月に、オートノミーの創業者マイク・リンチ氏が退職したが、その後オートノミーの幹部が、過去に不審な会計処理や商慣行があったことを申し出たため、内部調査を開始した。
これにより、売上高、粗利益、成長率などが水増しされており、買収時のオートノミーの企業価値が実態よりも高く評価されていたことが分かったという。
同社はすでに米証券取引委員会(SEC)と英重大不正監視局(SFO)に報告しており、当時の関係者を相手に訴訟を起こす準備を進めるとしている。
メグ・ホイットマン最高経営責任者(CEO)は、「オートノミーの買収を進めたのはレオ・アポテカー前CEOと、シェーン・ロビンソン前事業戦略責任者だが、いずれも既に当社にいない」とし、この問題が自分のCEO就任前のことだと説明した。
一方で、米ウォールストリート・ジャーナルによると、オートノミー創業者のリンチ氏は「疑いは完全に間違っている」と否定している。アポテカー氏も「世界で最も大きく、評判が高い2つの会計事務所を通じて徹底的に調査されたはず」と反論している。
相次ぐCEOの交代で混乱
ただ、いずれにしても、問題が起こる経営トップをこれまで何人も選んできた同社の取締役会には厳しい目が向けられているようだ。