オバマ大勝に終わった米大統領選挙の開票は日本時間の11月7日。翌8日には北京で中国共産党大会が開幕した。日程の都合で偶々1日違いになったためか、今週は米中の2大政治イベントにつき同時にコメントを求められることが多かった。
考えてみたら、大統領選挙と共産党大会が同じ年に実施されるのは20年に1度。これも何かの因縁なのだろうか。今回は、米中両国の最高指導者選びにつき勝手な比較を試みつつ、いつもの通り、中国に関する筆者なりの独断と偏見をご披露したい。(文中敬称略)
米中における統治の正統性
11月7~8日、従来気にも留めなかったが実は重要な米中政治制度の違いを改めて思い知った。例えば、なぜバラク・オバマは来年1月20日からもう4年間米国を統治する正統性があるのか。それは簡単、彼が自由で民主的な選挙により有権者の多数の支持を得たからだろう。
それでは、習近平はなぜ11月15日から中国共産党総書記となるのか。なぜ、来年3月には国家主席に就任することができるのか。予備選を含めれば2年近い熾烈な米大統領選が終わった直後の今、改めてよく考えてみると、すっきりとした回答は意外に難しい。
中国共産党最高指導者の正式名称はこれまで何度か変わっている。第1回全国代表大会では「中央局書記」、その後、「中央執行委員会委員長」「中央執行委員会総書記」「中央委員会総書記」となったが、1943年にはこの「総書記」ポストが一時廃止された。
その後、「中央政治局主席兼中央書記処主席」、1945年から1982年までは「中央委員会主席」となり、1982年の第12回党大会以降は再び「中央委員会総書記」が設置され、現在に至っている。
中央委員会総書記は「中央委員会全体会議」によって選出される。中央委員会全体会議は中央委員と中央委員候補からなり、現在合わせて370人ほど。彼らは2200人を超える代表が参加する「中国共産党全国代表大会」によって選出されることになっている。
中央委員に立候補するためには党組織の推薦が、中央委員及び同候補になるためには少なくとも5年以上の党歴が、それぞれ必要だ。中央委員は、欠員が出ると、中央委員候補から得票の多い順に補填されるという。
国民と遊離した共産党中央
これ以上の説明は細かいので割愛する。要するに、5年以上の党歴を持つ党員が党組織の推薦を受けない限り、中央委員ポストへの立候補すらできない。仮に立候補できても、全国代表大会で選出されない限り、中央委員候補にすらなれない。これが共産党のルールだ。