インドネシアには世界シェアで上位に入る資源や産業が数多く存在するが、日本人にあまり知られてないものに、パームオイルというものがある。
このパームオイルで、インドネシアは生産量、輸出量ともに世界トップシェアを占め、2位のマレーシアと合わせる世界のシェア9割近くになる圧倒的な生産国兼輸出国になる。
パームオイルは植物油のなかで、世界で最も多く消費されているオイルであるということを考えると、2カ国で9割という状態がいかに大変な数字かお分かりいただけるだろう。
今回は多くの日本人にとってなじみのないパームオイルが、実は日本でも重要な存在になっていること、またパームオイルが引き起こしているいくつかの問題についてお伝えしたい。
日本人の日常生活にも欠かせないパームオイル
パームオイルなんて聞いたことがないという方や、聞いたことはあるけどよく分かっていないという方にもパームオイルを身近に感じてもらうため、実は知らないだけで毎日使ったり食べたりしているという例を挙げてみたい。
例えば、古くから使われているもので言えば、パームオイルを精製してできるオレオケミカル(油脂)を利用して石鹸や洗剤が作られている。
食品関連で言えば、マーガリン、チョコレート、アイスクリームの油脂から、ポテトチップスやインスタントラーメンを揚げるための油まで、さまざまな用途でパームオイルは利用されている。
箱や包装紙にある原材料のところをよく見ていただくと、植物性油脂(パーム)とか、パーム油、やし油と書いてあるので、是非一度ご覧いただきたい。
日本のパームオイル大手である不二製油株式会社のホームページ(PDF)によれば、日本で利用されるパームオイルの実に90%が食品に使われているらしい。また同ホームページによれば、日本で2番目に多く使われているのがパームオイルとのこと(1番目は菜種油)である。
日本人になじみがないものには、パームオイルを用いたクッキングオイルがある。東南アジアではクッキングオイルと言えばパームオイルを連想するほどで、一般的な家庭では調理油にパームオイルを使う。
現地のレストランや屋台で食事をしたことがあるという方がおられれば、食した料理にパームオイルが使われていたと考えていただいてまず間違いない。
このように広く普及している一方で、この油は健康によろしくないとされており、その要因として飽和脂肪酸の含有量が多いことが挙げられている。
私がインドネシアに駐在していたとき、インドネシア人から「インドネシア人が早死になのはパームオイルを大量に消費するからだ」と真顔で言われたことがある。