中国の2大通信機器メーカー、ファーウェイ(華為技術)とZTE(中興通訊)が米国市場から締め出される可能性が出てきたと報じられているが、市場調査会社の米IHSアイサプライによると、この2社はもともと米国市場で大きなシェアを持っておらず、その影響は限定的だという。
「中国がスパイ活動に利用する恐れ」
この問題、事の発端は米下院の情報特別委員会が8日に発表した報告書だ。
委員会は11カ月に及ぶ調査を経て結果をまとめたが、この中で「ファーウェイとZTEには中国当局の影響が及んでおり、両社の製品を使うことは米国や米国通信システムの安全保障の脅威になる」と報告した。
中国が、両社の通信機器を使って米国でスパイ活動をする恐れがあるというものだ。さらに委員会は「両社は中国政府から保護を受けており米国の競合企業に不利益をもたらす」などとし、米国の通信事業者に対し両社と取引を行わないよう要請した。
これを受けてファーウェイは「報告書はあらかじめ決められた目的に沿って作成されたもので、事実誤認がある」、ZTEは「我が社の機器は安全であり、米国通信インフラの脅威にはならない」といったコメントを出して反発している。
また中国当局も両国関係を損ないかねないと強硬に反論しており、米ウォールストリート・ジャーナルなどのメディアは、米中とも新たな政権の誕生を目前にし、2国間の摩擦は一層強まりそうだと伝えている。
ファーウェイ、世界の通信インフラ機器市場で首位
ただしこの問題、たとえ両国の政治問題に発展することはあっても、当面、通信機器市場と2社の業績に及ぼす影響は軽微と見られている。
前述のIHSアイサプライによると、ファーウェイとZTEは過去10年以上にわたり、米国の通信インフラ機器市場でシェア拡大を狙って努力しているが、いまだ成功していない。
「今回の報告書の影響で両社の米国進出に遅れが生じるものの、事業全般に及ぶ影響は小さい」とIHSアイサプライは分析している。