米ヒューレット・パッカード(HP)は3日、投資家向けの年次会合を開き、経営再建計画の進捗状況を説明したが、そこで示された業績見通しが予想を下回るものだっため、同社の株価は同日13%下落し、約9年ぶりの安値となった。
2013年は主要部門のほぼすべてで業績悪化
HPのメグ・ホイットマン最高経営責任者(CEO)兼社長は、同社が5月から始めたリストラ計画が順調に進んでいることを強調し、2014年の10月末までに経費節減の目標額を実現すべく取り組んでいると説明した。
また2016年までに売上高の成長率が米国の国内総生産(GDP)と同じ水準で推移し、営業利益の伸びが売上高の伸びを上回るという長期的な展望も明らかにした。
しかし、今年11月から始まる2013会計年度の業績見通しは、ソフトウエア事業を除くすべての主要部門で売上高が減少し、営業利益率も低下するというもの。
これより同社はリストラ費用などを除く1株当たり利益が3.40~3.60ドルになるとの予想を示したが、これがアナリスト予想の4.18ドルを大きく下回ったのだ。
ホイットマンCEOはHPの経営再建には時間がかかり、計画は複数年に及ぶと説得したが、投資家はそれには反応せず、同社株は売られたというわけだ。
説明の「再利用」に投資家はうんざり
海外メディアの報道を見ると、HPが投資家を失望させた理由は大きく分けて2つあるようだ。
1つは同社の経営再建計画が遅れており、今後1年間に業績改善の見込みがないことが明確に示されてしまったこと。もう1つは、この状況からどう脱却していくのかという具体策が示されなかったこと。
同社は5月に発表したリストラ策で、2014年の10月末までに全従業員の8%に当たる2万7000人を削減するとし、これにより抑制される経費を成長が見込めるクラウドコンピューティング、データ解析、セキュリティの3分野に投資するとしていた。