今週はサンフランシスコでこの原稿を書いている。当地のチャイナタウンは、尖閣「国有化」に反対する中国系米国人が「大規模な抗議デモ」を行ったと報じられたばかりだ。今回は現地で筆者が見聞きした米西海岸の華人・華僑社会の現状についてご報告したい。

サンフランシスコの反日デモ

 東京での各種報道によれば、「反日デモ」が発生したのは当地時間の9月15日。主催者側発表で約4000人の中国系米国人がサンフランシスコの中華街に押し寄せ、「日本人は釣魚島から出ていけ」などとシュピレヒコールを上げたという。

サンフランシスコのチャイナタウンに掲げられた反日の横断幕

 昨日早速、その中華街へ行ってみた。

 ご覧のとおり、中心部には各種華人・華僑団体に「堅決保衛釣魚台、中華児女一起来(中華の若者よ、共に釣魚台を断固防衛せよ)」と呼びかける横断幕がまだそのまま残っていた。

 現地の人々にも話を聞いた。確かに規模は小さくなかったが、参加者4000人はオーバーで、せいぜい2000人程度のデモだったそうだ。

 また、数日後、デモの代表者20人ほどが在サンフランシスコ日本総領事館に野田佳彦総理宛抗議文を持ってきたという。

 仮に2000人としても、無視できない規模だ。サンフランシスコ中華街の人口は1万人程度。いくら人口密度が高いとはいえ、かなりの組織的動員がなければ、これだけのデモには発展しない。やはり、この種の「反日デモ」には影の主催者、扇動者がいると考えるべきだろう。

初の中国系市長

 サンフランシスコについては、もう1つ気になる動きがある。昨年11月に行われた市長選挙で、同市史上初めて中国系米国人エドウィン・リー氏が当選したのだ。

 しかも、この市長選の裏には、サンフランシスコ中華街の「ドン」と噂される女性の存在が見え隠れするという。

 現地の報道などを総合すると、この女性はローズ・パクといい、サンフランシスコの中華商工会のコンサルタントを務めるバリバリの活動家らしい。昨年の市長選にリー市長を担ぎ出した黒幕の1人であり、当地中華街を取り纏める強い影響力を持っているという。