この10年ほどで、朝夕の通勤電車の風景がだいぶ様変わりしたことは、既に多くの人が認識している。

 朝は一般紙の朝刊やスポーツ新聞、夕は夕刊紙に目を通していたはずのビジネスマンの手にはスマートフォン。当たり前が過ぎて普段は特に気づかない。しかしいざ意識をし始めてみると、スマートフォンがあまりにも多くの人の手を占拠していることを再認識させられる。

ここ10年で部数を大きく減らした新聞

 2000年から2011年の新聞の発行部数の推移を見てみると、明らかにその煽りをくらっていそうだ。この期間は、ちょうどスマートフォンを含めた携帯電話端末が生活の中心的道具に育っていく過程とシンクロしている。

出典:一般社団法人日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数の推移
 

 もちろん発行部数減少の理由は多々あるが、手元の携帯電話端末に時間を奪われていることが大きな要因となっていることは間違いない。

 スマートフォンやタブレット型端末で電子化された新聞を読むようになったユーザーもいるにせよ、いかんせんそれらの端末の中には「ユーザーの時間争奪戦」の強力なライバルが多数存在する。

 例えばいまで言えば、スマートフォンでフェイスブックやツイッターを利用することに時間を費やしている人は多く、新聞にとって手強いライバルとなっている。

 しかしこれとて常に勢力図が変わる。そう、とにかくその勢力図は目まぐるしく変わり続ける宿命にあるのだ。