18年間というきわめて長い加盟交渉を経て、ロシアがついに世界貿易機関(WTO)に加盟した。長い長いと言われた中国の加盟交渉よりもさらに時間がかかっての悲願実現であり、このことはWTOの加盟交渉が国際政治状況に大きく左右される性質を持っていることを示している。

ようやく実現したロシアのWTO加盟

ロシアが156番目のWTO加盟国に、バヌアツも正式加盟

156番目のWTO加盟国になったロシア。写真は8月に開催されたスイス・ジュネーブでの承認式〔AFPBB News

 ロシアでは、毎年、まるで年中行事のように大統領が「今年中のWTO加盟を実現する」と宣言してきたが、なかなか実現されずにいた。

 WTOの加盟承認には、既に加盟している国すべての承認が必要であるから、それは新冷戦と言われる米ロ関係の急速な冷え込みや、グルジアとの軍事衝突など、経済・通商関係とは全く別のファクターが働く余地があるからである。

 ロシアは、今後、中国がWTOに加盟したときと同じように、段階的な市場開放を通じて、今後いっそう国際経済との統合を進めていくことになる。

 そしてこのことは世界市場並みの競争圧力が国内市場に入り込むことを意味しており、今後ロシア産業の競争力強化・近代化に向けた努力が加速されることが期待されている。

 ところがこのロシアのWTO加盟の実現に対して、米国が対ロ関係に苦慮する側面が出てきた。冷戦期の遺産とも言われるジャクソン=ヴァニック修正条項の存在が、WTO原則に逸脱するため、その取り扱いを巡って米国内に意見対立があるからだ。

人権外交のツールだったジャクソン=ヴァニック修正条項

 ジャクソン=ヴァニック修正条項とは、冷戦のさなかの1974年、ソ連が反体制派などの移民出国を制限していたことに対して米国が取った報復措置で、善処が見られない場合、貿易制限措置を発動することができるとした条項である。

 しかし、とりわけソ連崩壊後は、ロシアが出国希望者に対する制約を緩めたこともあって、1994年以降の米大統領はこの措置を実際に発動させることはなかった。