パソコン大手の米デルが21日に発表した5~7月期の決算は、売上高が144億8300万ドルとなり、1年前の156億5800万ドルから8%減少した。純利益は7億3200万ドルで、1年前の8億9000万ドルから18%の減益となった。
パソコンの販売が落ち込んでおり、業績全体に大きく影響を及ぼしたようだ。
製品部門別の売上高を見ても、ノートパソコンなどのモビリティ製品が前年同期比19%減の38億7000万ドル、デスクトップパソコンが同9減の34億200万ドル、ソフトウエアと周辺機器が同9%減の23億3800万ドルだった。
一方でサーバーやネットワーキング関連製品は同14%増の23億3200万ドル、サービスは同3%増の21億600万ドルとなり、法人向け事業は同社の狙い通り好調に推移しているようだ。
とは言ってもパソコン事業の落ち込み分を法人向け事業で補うことはできず、減収減益という結果になった。同社の業績不振はある程度予想されていたが、その落ち込み度合いが予想を超えていたため、同社株は同日の時間外取引で4%以上下落した。
かつて世界首位だったパソコン事業
デルはかつて世界市場で米ヒューレット・パッカード(HP)と首位を争っていたパソコン大手。徹底的なコスト削減で、製品の価格競争力を高める手法は「デルモデル」と呼ばれ、他社にまねのできない効率の良いビジネススタイルと称賛された。
しかしそれも今は昔。同社のパソコン出荷台数の順位は、HP、中国レノボ・グループ(聯想集団)、台湾エイサーに次ぐ第4位。とりわけ成長が著しいアジアの低価格製品市場で苦戦を強いられている。
同社のブライアン・グラッデン最高財務責任者(CFO)は、10月にウィンドウズ8が発売されることから小売業者が在庫削減に力を入れていること、昨今のタブレット端末、スマートフォンの普及で消費者がパソコンを買い控えていることを苦戦の理由に挙げている。
こうした状況を打開しようと、同社はサーバーやネットワーキング関連製品、サービスといった高い収益が見込める法人向け事業に力を入れており、この7月もIT管理ソフトウエアの米クエスト・ソフトウエアを買収すると発表したばかり。