前回お話しした、離婚して失う有形資産のうち、まだ子供への「養育費」と配偶者への「慰謝料」について述べていませんでした。こちらはすべての離婚したいと願う夫婦に関係するものではありません。
養育費は子供がいないと発生しませんし、慰謝料は相手に身体的・精神的ダメージを与えない限り支払うことはありません。ただし、子供がいたり、浮気などをした場合には、離婚への大きな足かせになるので、「なぜ離婚しないのか?」の大きな理由になるものです。
慰謝料について
慰謝料というのは、「婚姻関係の破綻の原因をつくった配偶者に対して請求できるお金」のことで、主に不貞行為(浮気)や家庭内暴力・精神的虐待などの証拠をつかむことによって請求できます。
下に示した表は「離婚調停申し立て動機」で、そのうち上位3位と申し立て件数のデータを表しています。
まず申し立て件数。離婚をしたいと願う件数は女性の方が圧倒的に多くて、約5万件、男性は半分以下で2万件弱です。
つまり2:5で女性が多くなっています。理由は「性格の不一致」が男女ともに第1位になっています(男性61.4%、女性44.1%)。
この場合には慰謝料を相手に請求するのは難しいですが、第2位と第3位の理由のDVと浮気は慰謝料の請求が可能です。女性の動機としてDVが29.4%、「異性関係」と呼ばれる浮気が25.5%で、男性の場合でも17.9%が妻の浮気が原因となっています。
慰謝料の金額は数十万円から数百万円単位となりますが、浮気やDVなどの回数、期間、継続性といった要素によって金額が変わってきます。ただし、請求する場合には、証拠が必要となりますので念のため。
つまり、男女ともに言えることですが、自分が浮気したりあるいは暴力を振るったりして、相手に証拠を取られたような場合には、相手から離婚することが容易になるが、自分から離婚することが非常に難しくなる、ということです。