5月24、25日の両日、北京で第2回「米中戦略・経済対話」が開かれた。第1回対話が昨年(2009年)7月末にワシントンで開かれてから早1年弱。当時マスコミは「G2時代の到来」などと大いに囃し立てたが、今年は米中「冷却化」を反映してか、昨年のような浮かれ報道はほとんど見られない。

米中対話開幕、哨戒艦問題で対応協議

第2回米中戦略・経済対話のために北京に到着したヒラリー・クリントン米国務長官〔AFPBB News

 本邦主要紙でも、「課題は山積、合意は困難」「人民元は一時休戦」「亀裂の一方、依存深まる」といった醒めた見出しが目立つ。

 それはそれで大変結構な話なのだが、もともと天邪鬼な筆者としては、「本当にそうなのかなぁ」と逆に疑いたくなるから不思議なものだ。

 実際、米側関係者の話を聞いたり様々な報道や資料をじっくり読んでみると、今年の米中対話は、昨年と比べ、より着実な進展があったとすら考えている。

 今回と次回は、筆者がそのように考える理由を、これまでの米中間ハイレベル対話の歴史を振り返りつつ、じっくりご説明したい。(文中敬称略)

クリントン国務長官の総括

 対話終了後の25日午後、米中の参加主要閣僚による共同記者発表が行われた。中国側首席代表の王岐山副首相は、対話の「完全な成功」を手放しで自画自賛していた。

 これに対し米国務長官のヒラリー・クリントンは若干踏み込んで、「今年初め米中関係は不確実性に直面し、多くの人が我々の方向性を疑問視した。両国関係は長期にわたり後退しかねなかったが、・・・今回の対話により、我々は速やかに前向きな状態に戻ることができた」と総括している。

 Earlier this year, our relationship faced uncertainty, and many questioned the direction we were heading. Now, in an earlier era, we might have experienced a lasting set-back. But this dialogue mechanism … helped put us rapidly back on a positive track.