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「事前プランなしマーケティング」のススメ

想定から実証するターゲティングへ

2012.07.05(木) 横山 隆治
    http://goo.gl/qWl8w
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 マーケティング施策を実行するうえで、最近の潮流やテクノロジーが実現しつつある仕組みをうまく活用しようとすると、「最初にすべてプランを決めてしまう」という従来当然のように行っていたスタイルが馴染まないことに気がつく。

 マス広告を使用するような大きなキャンペーンでは、社内の決裁を得るためにも、「テレビCMはこういう表現で、こういうメディア計画で、こういう順番、段取りでキャンペーンを進めます」ということになる。多額のコストを使うからには、何をやるのか、何にいくら使うのかを事前に示すのは当然担当者の責任になる。

 案外、予算化のための社内稟議書に書かれたおおまかなメディアプランが、代理店へのオリエンテーションシートの元になっていて、そうしたことが縛りになっているケースもあるだろう。

 しかし、従来のこうした「最初にプランを決めて実行する」マーケティング施策は、あくまで、やり切ってしまうまで消費者の反応や成果が分からない時代のものである。

 例えば、キャンペーンの導入時期に、まずはテレビ広告を数千GRPドーンと投入し、注目を集めるプランだとする(もちろん流通に対して「これだけテレビ広告を投下しますから」と棚を獲得するために必要なこともあるだろうが・・・)。

 しかし、想定しているターゲットに対して、マーケティングメッセージが的を射たものか、クリエイティブが適切にターゲットの反応するものになっているかなどは、本当のところは実際にやってみないことには分からない。

 事前の調査はやっているだろうが、それらはしょせん少数の消費者に意見を聞いているだけで、実際の行動を保証するものではない。だから外して大コケにコケる時はコケる。

 私は以前から「意見を聞くマーケティングから行動を捕捉するマーケティングへ」ということを提唱している。

業界人間ベム:「意見」ではなく「行動」を把握する。

 従来の調査はほとんど消費者の「意見」を聞いているが、エリアを選定したテストマーケティングなど実際に売ってみる方法以外では、行動を確認するところまでいかない。

 消費者は意見を求められても、必ずしも意見が本当のニーズを反映しているわけではない。自分の認識と真の購入決定要因にズレがある場合が多く、そもそも専門家でもないため、改善策や解決策やアイデアは参考にはならない。

 昔、こんなグループインタビューを行ったことがある。ヨーロッパの名窯の陶器のデザインに対して意見を求めたもので、斬新なデザインのものに評価が集まった。しかし、インタビューが終わり、「ついでですから、お1人1つずつお持ち帰りください」となったら、全員がごく普通の丸皿を持って帰った。意見と行動が違うことは往々にして起きる。

 そのため、いくら事前に調査しても、TVCMなどのキャンペーンもコケる時はコケる。

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横山 隆治 Ryuji Yokoyama

 

1982年青山学院大学文学部英米文学科卒。(株)旭通信社入社後、ビール、飲料、食品などのマス広告ブランドを多数担当。96年DAC設立に参画。DAC代表取締役副社長を経て、06年(株)ADKインタラクティブ代表取締役社長。現在(株)デジタルインテリジェンス代表取締役。ネット広告黎明期からその理論化、体系化に務める。著書に『インターネット広告革命』、『次世代広告コミュニケーション』、『トリプルメディアマーケティング』ほか多数。

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