米マイクロソフト、タブレット型端末「サーフェス」を発表

マイクロソフトが発表したタブレット端末「サーフェス」〔AFPBB News

 米ブルームバーグは6月30日、米マイクロソフト(MS)の次期基本ソフト(OS)「ウィンドウズ8」について、米ヒューレット・パッカード(HP)が、一部のバージョンのタブレット端末の市場投入を当初見合わせる方針だと伝えた。

 ブルームバーグがHPの広報担当者、マーリーン・ソマスク氏に直接問い合わせたところ、同氏は、HPが当面企業向けウィンドウズ8搭載タブレットに専念することを理由に、一部のバージョンのみに対応させると答えたという。

 パソコン世界最大手のHPがこうした方針を示したことで、複数のマイクロプロセッサーの基本設計に対応させるというウィンドウズ8のマルチOS戦略は、幸先の悪いスタートを切ることになると伝えられている。

MSのマルチOS戦略とは

 パソコンやサーバー、スマートフォンやタブレット端末で主に使われているマイクロプロセッサーには2つの異なる基本設計がある。1つは米インテルが開発した「x86」で、これはパソコンやサーバーに採用されている。

 もう1つは英アームホールディングスが開発した「ARM」で、こちらは低消費電力という特徴を生かし、米アップルの「iPad(アイパッド)」や、米グーグルの「アンドロイド(Android)」搭載タブレット、スマートフォンなど様々なモバイル機器に使われている。

 昨今のタブレットブームを背景にマイクロソフトは次期ウィンドウズで、従来通りx86に対応するウィンドウズ8と、そのバージョンの1つであるARM対応の「ウィンドウズRT」を市場投入する。これにて、低迷するパソコン市場のテコ入れと、アイパッドなどに奪われているシェアを取り戻そうと考えているのだ。

 しかしブルームバーグによると、HPは当面、ウィンドウズRT搭載タブレットを開発しない。これはHPが顧客の意見を聞いて検討した結果だという。

 HPのソマスク氏は、ウィンドウズ8搭載タブレットの最初の製品は法人市場に向けて出荷する方針だと述べている。その理由は「x86アプリケーションの確立されたエコシステム(生態系)は当面、最高の顧客満足体験をもたらす」(同氏)からと説明している。

メーカーはウィンドウズRTの成功に懐疑的

 ARM版ウィンドウズRTタブレットは、低消費電力でバッテリー駆動時間が長いというメリットがあるが、新たにウィンドウズ8向けに開発されたアプリケーションソフトしか利用できないというデメリットがある。

 一方x86版ウィンドウズ8は従来のウィンドウズ用アプリケーションが利用できる。

 米ウォールストリート・ジャーナルによると、パソコンメーカーはウィンドウズRTのこうしたアプリケーションの少なさを懸念している。