前回の本コラムでは、世界市場で圧倒的シェアを誇り、かつ主要な大メーカーからの引き合いが増え続けている日本企業の姿を紹介した。
だが、日本が底力を見せるのは、前編で紹介した分野だけではない。国際競争力を失いかけているクルマやテレビの延命に力を注ぐのではなく、圧倒的シェアを誇る日本企業をさらに後押しする「強きを助ける」へのパラダイムシフトが必要だ。
今回も、独自性を武器に世界市場を席巻し続ける日本企業に焦点を当てる。
シマノ「ワークス」状態のチームがぞろぞろ
「レース」という言葉を聞いて思い浮かべる日本メーカーはどこか。私の場合、1980年代後半に自動車レースの最高峰、F1で表彰台を独占したホンダが真っ先に思い浮かぶ。また、同じくF1に参戦したトヨタ自動車、あるいはル・マン24時間レースのマツダだ。
だが、現在世界市場で「レース」という言葉が一番しっくりくるのがシマノなのだ。釣り具メーカーとして同社を知っているという向きが多いかもしれないが、実は自転車ロードレースの分野で、「F1時代のホンダよりもシマノは圧倒的な存在感がある」(外資系証券アナリスト)。
6月30日に開幕した自転車の世界3大レース(グランツール)の1つ、ツール・ド・フランスは、7月22日まで続く。
たかが自転車レースと侮るなかれ。のべ観客数は約1500万人に達し、ワールドカップサッカーやオリンピックに次ぐ存在感がある一大イベントなのだ。