本年5月9日、インドネシアのジャカルタ近郊でロシア民間航空機産業にとって、取り返しのつかない事故が発生した。「スホイスーパージェット(SSJ)100」の墜落事故である。
間が悪い、という言葉があるが、まさにこの事故のためにあるような言葉だ。
何せ、インドネシアから40機もの引き合いを受け、その受注のために行った現地でのデモ飛行で、山に激突、招待客を含む45人もの搭乗者が亡くなった。
事故調査前から機体には問題がないと喧伝
当然、引き合いは白紙撤回され、注文は流れた。事故直後から、墜落原因はパイロットのヒューマンエラー、機体にはなんら問題がなかった、という報道をロシアのマスコミはインドネシア発で盛んに流した。
ブラックボックスが見つかった、という報道はその後しばらくしてからだった(5月15日発見)。
それはそうだろう、機体に問題があったとなると、ロシア国内を中心に世界から170機以上を受注しているスーパージェットは今後、大変なキャンセル騒動に巻き込まれることになる。
だが、冷静に考えると、真相はブラックボックスの解析を待たねばならないことは、誰の目にも明らかだ。
ロシアにとって墜落原因を機体に帰すことができない理由は、もう1つある。この飛行機、実は、多くの西側企業の協力で出来上がっているのだ。
エンジンはフランスのSnecma製。特にこのSSJに搭載するために、ロシアのSaturnとPowerJe社という合弁企業を作って「SaM146」というエンジンを製造している。
従いSSJが売れないとなると、このエンジン製造合弁会社の今後は見通しが立たなくなる。