米マイクロソフトのモバイル基本ソフト(OS)「ウィンドウズフォン(Windows Phone)」を搭載するスマートフォンの出荷台数は、2016年に米アップルの「アイフォーン(iPhone)」を上回る――。米国の市場調査会社IDCがこうした予測を発表して話題になっている。
IDCは2012年から2016年までの5年間の市場予測を行っているのだが、これによると米グーグルのモバイルOS「アンドロイド(Android)」の出荷台数ベースのシェアは2012年の61%から2016年には52.9%に低下する。
「シェアは5.2%から19.2%へと急伸」
アイフォーンのOS「iOS」も同期間に20.5%から19%へと下がる。これに対し、マイクロソフトのOSは5.2%から19.2%へと大きく上昇するというのだ。
これに先だって同社が公表していた今年1~3月期のウィンドウズフォン/ウィンドウズモバイルのシェアはわずか2.2%。この数値は台数が激減しているカナダRIM(リサーチ・イン・モーション)の「ブラックベリー(BlackBerry)」と比べてもその3分の1という水準だ。
このことを考えるとウィンドウズフォンが今後5年でiOSを追い抜き、市場第2位のOSになるとは信じられない。
ウィンドウズフォンはフィンランド・ノキアが採用しており、同OS搭載端末「ルミア(Lumia)」シリーズは出荷台数を増やしている。しかしそれでも市場全体の拡大ペースには追いつかず、シェアは1年前の2.6%から低下しているという状況だ。
IDCも先の調査リポートで「(ウィンドウズフォンは)世界のスマートフォン市場でまだ目立った存在ではなく、同OSの低成長はしばらく続く」と報告していた。
ではいったい今回どうしてこのような予測になったのだろうか?
「新興国市場の低価格・量販商品として販売拡大」
そのカギを握るのは新興国市場と価格のようだ。これについて、米ワイアード誌がIDCの主席アナリスト、ラモン・ラマス氏にインタビューしているのだが、それによると同氏は、新興国市場に固い地盤を持つノキアだからこそ、ウィンドウズフォンの販売台数を増やせると説明している。
ノキアは先頃、携帯電話の世界出荷台数で韓国サムスン電子に抜かれ2位に転落した。しかしラマス氏によると、ノキアはアジア、中南米、アフリカといった新興国市場で依然として最大規模のメーカーだ。