中国のインターネットのトレンドがパソコン(PC)からPC+スマートフォンへと大きく変わりつつある。

 中国人は外国の良いモノは輸入や現地に旅行してでも購入しようとするほど消費旺盛だが、一方で中国人的合理主義と言おうか、彼らは物体のないデータに対して対価を支払わないようなイメージがある。

 そうは言っても中国インターネット利用者は5億1300万人もいる非常に大きく魅力的な市場であり、最近ではGREEやDeNAが中国に進出しているし、ほかにも中国に進出したがっている著名サイトはある。

中国でもようやく始まった有料動画サイト

スマートフォン普及で正規版利用へとユーザーは動くか

 中国のネットユーザーはどれだけ自らカネを落としているのか、考察してみたい。

 日本でニコニコ動画は月額525円支払うプレミアム会員数が今年初めに150万人を突破している。つまり150万人が500円を支払ったという計算でも月7億5000万円がドワンゴに流れる。

 また米国のHuluにしても有料サービス「Hulu Plus」の会員数が150万人を突破した。中国においても2010年末に動画サイトの「優酷」「土豆」(両社は3月に合併した)「酷6網」「奇藝」など有力サイトが有料サービスを開始した。

 いずれの相場も1映画毎に3~5元(40~65円)、ないしは月額10~30元(130~390円)程度で利用できる。

 今年3月末、動画サイトの1つ「楽視網」は、有料会員数が70万人を突破したと発表した。計算すると会員全体の5%程度であるが、実はこれでも多い部類で、しかも携帯電話でテレビを見るための会員だ。

 優酷のユーザー数は2億6000万超、土豆のユーザー数は2億2000万を抱えるが、業界最大シェアの優酷でも去年の収入の中でユーザーからの利用費が占める割合は1%にも満たないことが発表されており、年間収入ですら100万元(約1300万円)に満たない動画サイトが普通だ。

 動画サイトは近年、コンテンツホルダーと契約したうえで正規版動画に広告をつけて配信している。外国のコンテンツホルダーとも契約をしていて、昨年末には土豆がテレビ東京とアニメ「NARUTO」などの配信で契約している。

 海賊版配信で動画サイトが訴えられるニュースはよく見るが、それでも海賊版はなくなることはない。高画質な動画はネットにあるだけでなく、街のいたるところにある海賊版ショップで録画された海賊版DVDが売られている。