スマートフォンやタブレット端末の特許を巡って米アップルと韓国サムスン電子が世界中で法廷闘争を繰り広げている。先頃はポータル大手の米ヤフーがソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手の米フェイスブックを訴えるなど、テクノロジー企業間の特許係争は端末メーカーのみならずネットサービスの分野にも広がってきた。

 そうした中、米マイクロソフトは「訴訟は得策ではない」とし、別の策であるライセンス事業に積極的に取り組んでいる。

台湾大手4社との契約に成功

マイクロソフト、米2州でサイバー犯罪に使われたサーバーを押収

他のハイテク企業が特許訴訟を繰り広げる中、マイクロソフトは着実にライセンス事業を推進している〔AFPBB News

 マイクロソフトは4月25日、台湾の大手電子機器メーカー、ペガトロン(Pegatron)と特許ライセンス契約を結んだと発表した

 このペガトロンは、相手先ブランド向けに端末の設計や製造を請け負うODM(オリジナル・デザイン・マニファクチャラー)と呼ばれる企業で、電子書籍端末やスマートフォン、タブレット端末などを製造している。

 マイクロソフトはペガトロンが製造する、米グーグルの基本ソフト(OS)搭載端末について、端末の台数に応じて特許ライセンス料を受け取るという契約を結んだ。同社は昨年、台湾のコンパル・エレクトロニクス、クアンタ・コンピュータ、ウィストロンとも契約しており、今回で台湾の大手ODM 5社のうち4社と契約したことになる。

 マイクロソフトによると、世界のODMのうち、昨年契約した台湾3社による、グーグルのOSを搭載する端末の売上金額ベースの世界シェアは合計55%。つまりマイクロソフトは世界で販売されるグーグルのOS搭載端末のうち、売り上げベースで半分以上のODM製品から特許使用料を得ており、今回の契約でそれがさらに増えるというわけだ。

知的財産問題を解決するライセンスプログラム

 マイクロソフトは自社の特許がグーグルのモバイルOS「アンドロイド(Android)」やパソコンOS「クロームOS(Chrome OS)」に無断で使用されていると主張し、グーグルが買収を決めた米モトローラ・モビリティや、電子書籍端末を手がける米書店大手のバーンズ&ノーブルと係争中だ。

 しかし、訴訟は同社にとってあくまでも交渉が決裂した際の最終手段。同社は、時間も費用もかかる法廷闘争よりも特許ライセンス契約の方が合理的と考えており、ライセンスプログラムを推進している。