石原慎太郎・東京都知事が再び吼えた。「東京都は尖閣3島を買い上げる」というワシントンでの発言は、瞬く間に日中両国政府間の非難の応酬に発展した。なぜこの種の発言が日中関係を揺るがすのか。今回はそのメカニズムについて考えてみたい。(文中敬称略)
ワシントンでの場違いな発言
4月18日までに主要紙の社説が出揃った。読み比べてみると、石原知事の言動を批判する声はあっても、尖閣列島国有化自体に反対する論調は見られない。
これこそ石原知事の狙いであり、中国はまんまと罠に嵌ったということだが、この点については後述する。
日経 やはり筋が違うのではないか。本来ならば国が保有し、しっかり管理すべきだ。
毎日 都が出てくるのは筋違いというものだ。石原氏は政府に対応を委ねるべきである。
産経 野田政権は対中危機意識を共有し、尖閣諸島国有化を真剣に検討すべきだ。
読売 中国などとのトラブルが想定される以上、やはり政府が関与すべきだろう。
朝日 発言は無責任だ。外交を担当する政府が所有する方が、まだ理にかなっている。
目立つのは都の関与が「筋違い」という批判だが、今回の石原発言は実に「場違い」でもあったようだ。
一部社説には、「世界の注目が集まりやすいワシントン」で「電撃的」に「国際社会に訴える」やり方には「違和感が残る」との指摘もあったが、それはちょっと違う。
問題の発言は現地時間4月16日のヘリテージ財団の会合で飛び出した。