今週は自動車メーカーの第4四半期の決算が出揃った。トヨタ自動車やホンダはタイの洪水や円高の影響が大きく響いて大幅減益となり、主要7社の純利益は前年同期比で6割減となった。
一方で、タイへの依存が少なく、またカルロス・ゴーン社長のもと海外生産を積極的に進めてきた日産自動車は2012年3月期の連結決算で純利益が約2900億円となり、ホンダの約2150億円、トヨタの約2000億円を抜いて日本の自動車業界で初の首位に躍り出ることが確実となった。
トヨタは世界3位に後退
タイを輸出拠点の核として世界の自動車メーカーの中で最も積極的な投資を行ってきたトヨタは洪水の影響をもろに受けた形で、自動車販売台数トップの座を米国のゼネラル・モーターズ(GM)に明け渡しただけでなく、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)にも抜かれて3位に後退するもようである。
ショッキングな事実ではあるが、昨年は東日本大震災とタイの洪水という“想定外”の天災が日本と日本の産業界を襲っただけに純利益や販売台数のランキングが持つ意味はそれほど大きくはないのかもしれない。いずれトヨタは世界一へ復帰するだろう。
ただ、トヨタの決算発表の中で気になることが1つあった。子会社のトヨタ自動車九州で作っているSUVの「ハイランダー」の生産を2013年に打ち切り、米国に移管するというものだ。
ハイランダーは日本で販売しておらず米国や中国市場が中心とはいえ、日本、それも生産コストの安い九州の子会社の生産を打ち切って、1人当たりの国内総生産(GDP)が日本よりも高い米国で生産するということをどうとらえればいいのか。
ニーズのあるところで作るというのは確かにうなずける。しかし、英フィナンシャル・タイムズ紙の『本格回復の初期兆候を見せる米国経済』によると、米国は今年3%の成長が見込めるという。
日本と米国の1人当たりGDPの差はどんどん広がっていく傾向にある。日本の雇用は守るとしているトヨタでも、日本のリスクにはしっかりとヘッジしておきたいということではないだろうか。
日本国債の金利をできるだけ抑えるために、デフレ政策を続けて名目金利を低く抑えたい。そして国債を買ってもらっている金融機関には何もせずに利ざやが取れる利益供与を続けたい。国債の暴落危機に対しては、消費税率のアップで対処する。