モスクワで過去最大規模の抗議デモ、主催者側は「12万人」と発表

12月24日に開催されたモスクワの大規模デモ〔AFPBB News

 2011年12月24日、ロシア建国以来最大規模の反政府デモがモスクワ市内で開催された。参加者は5万人とも10万人とも言われるが、実際はその中間あたりというのが衆目の一致するところだ。

 筆者はまさにその日、モスクワに滞在していた。

 期待を持たせておいて申し訳ないのだが、筆者はデモ会場に近づくことなく、その日は市内のショッピングセンターで買い物をしていた。 ジャーナリストでも政治学者でもないので、あまり興味もないし、あえて危険に近づく意味もないからだ。

 もっともテレビのニュース画像を見る限りではデモといっても、アラブの春どころかニューヨークのウォールストリートの抗議活動よりも穏健ムードで、お茶やお菓子を振る舞う人がいたりするなど、日本のメーデーを見るようである。

 実際にデモに参加した友人も、同じく参加したほかの友人とその後に飲みに行くことが目的だったらしく、西側メディアが期待するほどラディカルな集団行動ではなかったようである。

ショッピングセンターもデモのような賑わい

 また、この日のショッピングセンターには年末を控えてデモ参加者と同じくらいの熱気を持った市民が押し寄せていたことも付け加えたい。

 もちろん、本年3月の大統領選挙を控え、こうした反政府運動の行く末が気になるところであるが、ドミトリー・メドベージェフ大統領とウラジーミル・プーチン首相はもちろん、ロシア情勢の専門家にも先行きを見通すことは難しいように思える。

 なぜなら、このデモ行動が明確な指導者の下に組織されたものではなく、典型的な中間大衆の自発的な行動だからである。また主体となった「中間層」も社会の成熟が進むにつれて、多様性を増している。

 こうした多様な中間層の中から「アントレプレナー」、すなわち起業家を目指す若者が増えていることは注目に値する。

 12月13~15日付モスクワ・ニュース紙にこれに関する記事が掲載されている。同記事によると、メドベージェフ大統領の4年間のイノベーション振興策によって、ここにきてイノベーション起業を目指す若者が増える傾向にあるというのである。

 筆者の記憶では、2008年のリーマン・ショック後あたりから「若者が公務員やガスプロムのような国営大企業ばかりを目指す」というベンチャー経営者の苦言を聞かされることが多かった。

 その後の景気回復とともに若者の意識に変化が表れたということだろうか?