年が明けて、2012年が始まった。

 1年前の元旦に、2011年が日本にとってかくも困難な年になると予想した人は、誰一人いなかったはずだ。そう考えると、新しい年を始めるのが少々恐くなるが、時は決して歩みを止めず、我々はどうにかして日々をやり過ごしていかなければならない。

 来年の元旦に、我々はどんな気持ちで、これからの1年を思い返すだろうか?

 それもまた、誰にも分からないことである。しかし、今現在我々が抱えている課題のうち、1つでも2つでもいいから解決への道筋をつけたいと、私は切実に願っている。

 原発の廃止でも、税と社会保障の一体改革でも、1票の格差問題でも、国会議員の定数削減でも、沖縄米軍基地の移設問題でもいいが、などと書くと甚だ無責任だが、我々はもう長いこと国政レベルの課題について、政府が具体的な改革を実行したところを見ていない。

 年も押し迫った昨年末に、野田佳彦首相が消費税の値上げに舵を切ったことを理由に、民主党の国会議員数人が離党をした。それと呼応して、小沢一郎氏はマニフェスト違反だと盛んに党執行部を批判しているし、自民党も同様の否定的な談話を発表した。

 しかし、私としては、野田首相が本当に必要だと考えているならば、マニフェストに背いていようとも、消費税の値上げについて国民に信を問えばいいと思う。「子ども手当の創設」や「高速道路の完全無料化」といった、ファストフード店の値下げ競争のような予算のばらまきによってではなく、国家財政を立て直すという大きな課題について、真剣に訴えればいい。

 「私を信じて、どうか苦難をともにしてください。国民にだけ、身を切らせるようなまねは絶対にしません。議員定数と議員の歳費を削減して、さらに公務員改革も行い、なんとしてでも財政再建への道筋をつけてみせます。現在、党内取りまとめと野党の説得に全力を挙げていますが、それらが不調に終わった場合は国民に信を問うべく、衆議院を解散し、総選挙を行いたいと思います。そして、石に齧(かじ)りついてでも選挙に勝利して、日本再生の足がかりをつかまなければなりません」

 党の分裂を覚悟の上で首相が改革に乗り出すなら、今度は国民の見識が問われることになる。