「もしもピアノが弾けたなら」とかつてのヒット曲にもあったように、誰もがあこがれるピアノ演奏。しかし左手、右手それぞれで、異なるリズム、旋律を弾くのはそう簡単ではない。うっとりするような演奏ができるようになるには、長い地道な練習が必要。

 ちょっと退屈なピアノレッスンを、ゲームのような楽しい時間に変えてくれるマシンが登場した。米国フロリダ州ウエストパームビーチのルバト・プロダクションズ社が取り扱う “コンサートハンズ・システム” だ。(写真1)

レール上の滑車が両手を誘導

(写真1)コンサートハンズ・システム(キーボードとコンピューター本体は別)の設置例。手持ちのピアノやキーボードに合わせて高さを調整できる(写真2)指を刺激して鍵盤を弾くタイミングを伝えるフィンガースリーブ。量産モデルはさらに薄く、クリップで装着するタイプになる予定

 コンサートハンズは、鍵盤の手前に設置する長さ180センチメートルのレール、手首を載せてレールの上を左右に移動する「リストパイロット」、両手の指に装着する「フィンガースリーブ」の3つのパーツで構成されている。(写真2)

 コンピューター上で課題曲を再生すると、リストパイロットが両手を誘導し、さらにフィンガースリーブが弾くべきタイミングで指を刺激して合図を送ってくれる。演奏者は合図に合わせて鍵盤を押さえながら、両手の筋肉に動きを記憶させる。

 理屈で考えるのではなく、体に覚え込ませることで、短期間でピアノ演奏が習得できるのが、コンサートハンズの特長だ。さながら、「ピアニスト養成ギプス」といったところだろうか。すでに特許も取得済みである。

 システムを制御する専用ソフトウエアは、ごく普通のノートパソコンにもインストールできる。マッキントッシュにもウィンドウズにも対応可能だ。パソコンとシステムの接続はUSBケーブルを利用する。

 ソフトにはあらかじめ10曲の練習曲がプログラムされているほか、製品の量産が始まれば70万曲のライブラリーから好きな楽曲データをダウンロードして購入できるようにする予定(価格は未定)。