ウォールストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズなどの米メディアは16日、中国国営・新華社通信の報道を引用し、北京市当局がミニブログサービスの利用者に対して、実名登録を義務づける管理規定を公布し、即日施行したと大々的に伝えた。
「中国ではかつて珍しかった抗議活動はここ最近ネットを中心に急速に広がっており、政府はこの動きを鎮圧したい考えだ」などと報じている。
「秩序を乱す」投稿を根絶へ
報道によると、新たな管理規定の目的は「有害な情報から中国のサイバー空間を守ること」。利用者は従来通りハンドルネームを使い続けられるが、サービス提供会社には実名登録しなければならなくなる。
北京市当局はこれに伴って国家機密や、国家安全保障を脅かす情報、民族の不満、集会などを誘発する投稿なども禁じているという。
利用者の匿名性を排除することで、当局は投稿者を追跡できるようになる。これが抑止力となって、当局の言う「秩序を乱す」投稿がなくなると考えているようだ。
中国ではツイッターのようなミニブログサービスは、ウェイボー(微博)と呼ばれ、シナ(新浪)やソーフ(捜狐)、テンセントホールディングス(騰訊控股)といった大手ネット企業がサービスを提供している。このうち今回の管理規定の直接的影響を受けるのは、北京に拠点を置くシナの「新浪微博」とソーフの「捜狐微博」だ。
影響は中国全土へ
また香港大学のメディア研究機関、中国メディアプロジェクト(CMP)は、テンセントの「騰訊微博」は、同社が深センの企業のため、直ちに影響があるかどうか今のところ分からないが、中国のネット企業の大多数の拠点が北京市にあることから、中国全土の利用者にとって大きな影響が及ぶと伝えている。
ただしニューヨーク・タイムズによると、深セン市などのほかの都市でもまもなく北京市と同様の管理規定が施行される見通しだ。