サプライズなニュースがマーケットを駆け巡りました。12月7日の夜の発表で、翌日の12月8日から、シンガポール内の住宅購入者に対し物件価格の10%に当たる追加印紙税を課税するというものです。
外国人、外国法人の不動産取得に10%の課税を追加
早くも略称の好きなシンガポールでは、この税金をABSD (Additional Buyer's Stamp Duty) と呼んで、連日新聞を賑わせています。
シンガポール不動産は、リーマンショックからの立ち直りが早く、昨年はGDP成長率14.5%を上回り平均で20%を超える上昇を記録しました。
政府はあまりにも急激な価格上昇を警戒し、今年始めから、短期譲渡に関する印紙税を1年以内は16%、2年が12%、3年は8%、4年は4%、5年以降は通常の3%という重税を課してきました。
この影響ですでに春頃からマーケットは取引量も昨年比4割程度減少。価格もほぼフラットな状態が続いていたところであり、このタイミングでの発表は少なからずサプライズでした。
具体的には以下のような新規購入者に適用されます。
(1)外国人購入者には、通常の印紙税3%に加え、10%のABSDを課税
(2)PR(永住権保有者)の2件目以降の住宅に対し、通常の印紙税3%に加え、さらに3%のABSDを課税
(3)シンガポール人の3件目以降の住宅に関しては、通常の印紙税3%に加え、さらに3%のABSDを課税
要するに海外の富裕層や法人が購入する高級不動産を狙い撃ちにしています。
政府要人のコメントによると、近年海外からのプライベート住宅(HDBというシンガポール国民しか買えない公共住宅を除く高級物件を指す)投資が急増し、2009年の上半期は外国人シェアが7%であったのが、2011年の下半期には19%に上るとしています。